フィリピンのマルコス大統領、中国の秦外相と会談　友好関係アピール

マルコス氏は会談後に発表した声明の冒頭で、「最近、双方の国や他の国からあった表明は誤解を生んでいたかもしない」として、「だからこそ、秦氏と直接話し、障壁を取り除けたのはとても有用だった」と述べた。

声明によると、両氏は会談で「未来に向けた計画や、経済分野だけでなく文化や教育、他の交流で中比関係を成長させるための協力」について協議した。両国が領有権を争う南海の問題については「問題が起きた際、即時に解決できるように、両国間のさらなる連絡回路を創設することで合意した」という。

マルコス氏は1月に、大統領就任後初めて中国を訪問し、習近平国家主席と会談した。農業やインフラなど経済的な関係強化を確認。南海の問題では「友好的な協議を通じて適切に処理する」との認識で一致し、偶発的な衝突を避けるため外交当局者間で直接話し合う「ホットライン」の創設でも合意していた。

ただ、南海では中国の挑発的な行動が続き、フィリピンは安全保障面で米国との連携を強化している。4月上旬には米国との「防衛協力強化協定」（EDCA）に基づき、米軍が新たに使用できる比軍4拠点を発表。このうち3カ所が台湾海峡に近いことから、中国側は反発している。

マルコス氏は5月に米ワシントンを訪問する予定だ。今回の秦氏との会談は、訪米を前に、フィリピンの最大の貿易相手でもある中国との友好関係を演出する形となった。【バンコク石山絵歩】

毎日新聞 2023/4/23 10:32（最終更新 4/23 10:32） 732文字
https://mainichi.jp/articles/20230423/k00/00m/030/030000c