最近では、ただスマホカメラで撮影して、SNSに投稿するだけではなく、リアルタイムで起きていることを中継さながらに配信する人の姿も目立つようになった。埼玉県で起きた立てこもり事件の現場などでも、そうした光景と遭遇するケースが増えてきたと明かすのは事件記者の当山みどり氏。
「これまでも凄惨な事件の現場で配信者がカメラを回している、というケースはありました。それはあくまでも生業としている人たちに限られていた。それが今は簡単に配信を行うことができるようになったことから、現場で生配信をしている若者を見かけることも増えました」
中には配信をすることで注目されたり、投げ銭を貰えることに興奮する若者を見かけたこともあるという。その光景は凄惨な現場にも拘わらず、「どこか楽しんでいるような印象を受けた」と前出の当山さんは振り返る。
「人類はスマホ、という強烈な道具を手に入れましたが、その使い方を学んでいないんです。撮影する、という行為にどれだけの社会的責任があるのかを分かってない人が多い。これは本来、ネットコミュニケーションは公の場でのコミュニケーションとされていますが、撮影者にとっては個人的なコミュニケーションの場であるように勘違いしているからです。最近の心理学の研究でも明らかになってきました」
そう説明するのは犯罪心理学に詳しい新潟青陵大学の碓井真史教授だ。
例えるならネットのコミュニケーションというのは駅前で拡声器を使い、情報を拡散する行為。だが、このSNSで起きていることは本来だったら身内に伝えるにとどまったほうがいい話を相手の許可なく撮影し、大声で話している行為にあたるというのだ。
「大半の撮影者は事件現場や被害者にスマホを向けたとしても『悪いことはしていない』と勘違いしているでしょう。しかし、その行為は社会的には一歩間違えれば犯罪にあたり、警察の捜査妨害となる場合もあります。なにより撮影されている側からすればとんでもない数のカメラの暴力、情報の暴力にあたる可能性もあるんです」(前出の碓井氏)
11月5日に起きた歌舞伎町の刺傷事件ではそうした欲求が高まるあまり、警察の引いた規制線のテープをくぐり、内側まで入ってきて、スマホで撮影していた若者もいたという。
「近頃では飛び降り事件や人身事故などの現場などでも被害者にスマホカメラを向ける人がいます。道路で倒れていたり、ホームから落ちる様子の動画もSNSで拡散され、タイムラインに流れてきたのを見かけたことがあります。こうした凄惨な映像を意図せず見かけてしまうこともあるんです」(前出の当山さん)
スマホはいまや高性能な小型カメラになった。
『一億総カメラマン』なんて言葉も生まれたほどで、日本人に限らず、世界中の人々が目新しい情報を求めて目を光らせている。
加害者への怒りや憤りを覚えたり、被害者に同情を覚えるような気持ちを持ち合わせるのではなく、『遭遇すればラッキー』、それくらいの感覚でカメラを向けるのだ。
そのため、碓井氏は「新しいモラルやマナーを学ばなければいけない」と強調する。(抜粋)
引用元: ・【社会】「他人のトラブルでバズりたい!」 凄惨な事件現場にスマホを向ける若者たち
女の子の仲間らしき男たちがキレて追いかけて写真消させてたのは何年か前の名古屋駅で見たわ