夢がいつ実現するかどうか誰にも分からない」と呼びかけている。店先の座席スペースはおしゃれなカフェのようなスタイルで、「ただの宝くじ店ではない」というのがキャッチフレーズだ。雲南省の省都、昆明には「ロト・コーヒー」店というものもある。コーヒーを１杯購入するごとにスクラッチくじが１枚無料で提供される。壁のスローガンは「一杯のコーヒーで幸運を」だ。
公式統計によれば、その場ですぐに結果が分かるインスタントくじは昨年の売り上げは、データがさかのぼれる2008年以降で最高だった。
若い顧客を引き付けようとする取り組みは功を奏しつつある。中国財政省の統計によると、国が公認する宝くじの売り上げは昨年、過去最高の5800億元（約12兆2000億円）に急増。
国内市場調査会社モブ・データによれば、購入者の８割超が18－34歳で、その割合は20年の半分強から上昇した。
23年は若者の失業率が上昇し、６月には過去最悪を記録した。親世代が若い時に経験したよりも低成長となった今、就職活動を行う新卒者らは仕事を得るため過酷な競争にさらされている。
ユーラシア・グループのシニアアナリスト、ドミニク・チウ氏は、「単にストレスの多い経済環境と労働市場が理由で、幸運と成功を求めて」人々は宝くじのようなものに手を出しているのだろうと指摘する。
新型コロナウイルスのパンデミック（世界的大流行）前は、景気が良くなると宝くじの売れ行きが加速する傾向にあった。
宝くじの買い手は低所得者層が中心で、給料が上がった時だけ余裕資金を持つからだ。だが今は、都会に住む教育を受けた若い消費者が売り上げを押し上げている。
若者の不安
北京にある中国伝媒大学で映画を学ぶ１年生、呉沢浩さん（18）は「今は何をやってもお金を稼ぐのは難しい」と訴える。
北京の観光スポットで晴れた日の午後、宝くじ店の外で話してくれた呉さんは、少し前の休暇期間中に100元が当たって以来、毎日30元を宝くじに費やしており、「働くより宝くじで一獲千金を狙う方が確率が高いと本気で思っている」と言う。
今年に入り中国全体の失業率が再び上昇しており、暗い雇用情勢は社会の安定を脅かすリスクになりかねない。
若者たちは22年終盤、新型コロナを徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策に反発。抗議行動が中国全土で見られ、ゼロコロナ政策の終了につながった経緯もある。このことは、中国政府が宝くじブームを容認している理由を説明する一助になるかもしれない。
最近、宝くじ売り場は若者にアピールするために、そうした層が慣れ親しんでいるスラングを使ったり、ライフスタイルの流行を取り入れたり、工夫を凝らしている。
昆明の人気ショッピングモール近くにある宝くじ店の看板は「あなたの夢は何か」と問いかけ、「海辺のバンガローを買おう。経済的自由を手に入れよう」と答えるものだ。
北京のショッピングモールでスクラッチくじをしていたグオ・トンさんはライブストリーミングを仕事にしている若い女性だが、稼ぐのはすでに難しいと話す。
グオさんは宝くじで運命を変えようと１回に100元を費やす。「これは私たちが買えるもので、私たちをすぐに金持ちにしてくれる可能性のあるものだ」と話してくれた。
引用元: ・【一獲千金夢見る中国の若者】購入者の８割超が18～34歳・・・大学生「今は何をやってもお金を稼ぐのは難しい、働くより宝くじで一獲千金を狙う方が確率が高いと本気で思っている」
アホくさ。
