一方、同国の他地域では、古いウイルス株が感染した野生動物からその動物を狩猟したり扱ったりした人間に伝染し、子どもたちの間で感染者が爆発的に増加している。
両方のウイルス感染経路に関連しているのが、患者の家族や治療に当たる医療従事者の感染だ。
エムポックスは国際輸送ルートを通じて近隣諸国に侵入しており、特に紛争で住居を追われ混み合ったキャンプで暮らす避難民の間では、性暴力の増加が感染拡大につながっているとの報告もある。
世界保健機関(WHO)が国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態を宣言したこの新たな感染症の流行を防ぐには、感染拡大のメカニズムを解明することが重要だ。
WHOのマーガレット・ハリス報道官は、「大きな知識のギャップがあり、それをできるだけ早く埋める必要がある。感染パターンの解明は喫緊の課題の一つだ」と述べた。
中央アフリカでは診断検査が不十分で、コミュニティー内の新型コロナウイルスの感染状況を把握・理解するのに役立った高度なゲノム解読でも後れを取っていると調査官は語る。
WHOによれば、コンゴにおけるエムポックスの感染経路は複数ある。性行為などの密接な身体的接触を通じて感染するほか、感染者から同居している人々や医療従事者に広がる場合もある。
疫学者のアン・リモイン、ケイトリン・ジェテリナ両氏は20日のブログ投稿で、現場の専門家は空気感染の証拠を見ていないと指摘。むしろ、子どもたちがネズミを捕まえたり、4人一緒にベッドに寝たりする方が、感染経路になり得るとしている。
今年に入り、アフリカ全土でエムポックス感染者は約1万9000人、死者は約550人に上る。アフリカ連合(AU)疾病対策センター(CDC)のデータによると、その大部分はコンゴで発生しており、20日までの1週間にアフリカ大陸で新たに確認された感染者1405人のうち4分の3近くがコンゴで報告されている。
それでも、不十分な検査と報告を踏まえれば、本当の数字はずっと大きい可能性が高い。コンゴの新規感染者のうち検査で確認された比率は約17%、残りはCDCの定義と一致したケースだ。
隣国のブルンジでは100人の感染者が報告され、先週はスウェーデンで初の感染者が確認された。
ヨハネスブルクにあるリプロダクティブ・ヘルス・アンド・HIVインスティテュートの創設者、ヘレン・リース氏は「われわれが目にしているこれらの新たなウイルスの中には、動きを変え、より攻撃的になっているものもある。
エボラウイルスや新型コロナもそうだった。今度のエムポックスについても同じような状況が見られている」と説明。
引用元: ・【大きく異なる感染経路】急拡大のエムポックス、感染パターン解明急務・・・子どもたちの間で感染者が爆発的に増加