「上司に頼らず自分で判断することが増え、責任感が高まった」。市場部門に所属する総合職の岩崎彩香さん(31)が笑顔を見せた。岩崎さんは一般職で入行したが、社内試験を突破し、8年目の2023年に総合職になった。一般職時代は補助的な業務が中心だったが、現在は為替など取引の一線で活躍する。
今年3月時点の一般職は行員全体の5分の1強(5500人)いた。年々減少しており、試験を経て総合職になった行員は24年度までの3年間で約1500人に上っていた。岩崎さんは「試験もなくなり、新しいことに挑戦する人がさらに増えるのではないか」と期待する。
処遇改善
「一般職」の呼称は1986年施行の男女雇用機会均等法で、男女別の採用ができなくなったのを機に広がった。報酬は総合職より低いが、原則、転居を伴う転勤がなく、総合職ほど激務でもないため、銀行などの一般職は女性の人気を集めた。
近年は、低金利で収益が伸びなかった時期に店舗閉鎖が続いたことやネットバンキングの利用者増加で、窓口を担っていた一般職をなくす流れが続いている。
三井住友銀行は20年、一般職を総合職と統合した。みずほ銀行も21年、一般職と総合職という呼称をやめ、一般職だった行員が希望すれば、管理職を除いて、適性や能力に応じて総合職が担っていた職務を選べる制度に移った。
一般職をなくすのは、処遇改善の狙いもある。日本生産性本部によると、銀行業界は男性を100とした場合の女性の賃金が61.8と、男女間の賃金格差が大きい。一般職の存在が一因だ。三菱UFJ銀は今回の制度変更で、一般職だった行員は平均6.5%の昇給になると試算する。
個人向け営業
総合職にかわった行員の活躍の場として期待が高いのが、店舗における個人向け営業だ。昨年始まった新NISA(少額投資非課税制度)で個人の資産運用需要が高まっており、各行とも力を入れている。
ただ、家庭の事情などから一般職のような働き方を望む行員もいる。そうした行員には3行とも、窓口業務など従来の仕事を続けることも認めている。
大和総研の小林一樹氏は、「一般職の総合職化は、女性が出産後も働くことが当たり前になった時代の 趨勢すうせい に沿っている」と指摘。一方で「窓口のような事務作業が減る中で、抑制的な働き方にとどめたい社員の要望にどう応えるかは、今後の課題だ」としている。
読売新聞 2025/04/12 07:03
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20250412-OYT1T50012/
引用元: ・メガバンクから消える一般職…一本化により三菱UFJ銀では平均6.5%昇給 [蚤の市★]

