2026年3月30日 06時00分 有料会員限定記事
法律婚に伴う「同姓強制」は、家族を引き裂く凶器になり得る。結婚に伴い妻の名字に改姓しようとしたところ、東京新聞の男性カメラマン(25)は、両親に猛反対され、男性の改姓にハードルの高さを実感した。両親とは絶縁状態となり、やむを得ず事実婚を選んだ。国民の意識が変化したとされる中でも、理解を得られず当事者が苦しむ現状を考える。(細川暁子、太田理英子)
◆妻の意向をくみ、自分が改姓することにしたが…
「家族葬のため参列はご遠慮願います」「一応、訃報だけはお知らせしておきます」。母方の祖父の死を知ったのは昨年12月、父親から届いたLINE(ライン)だった。かわいがってくれた祖父を失ったショック。他人行儀な文面にも衝撃を受けた。結局、葬儀には出席できなかった。
父親からカメラマンに届いたライン。祖父の死に加え、他人行儀な文面にショックを受けた
「二度と家の敷居をまたぐな」。両親にそう突き放されたきっかけが、結婚に伴う改姓だった。
学生時代から付き合っていた妻にプロポーズしたのは2024年3月。結婚を意識したころから、妻は「名前を含めての自分。改姓はしたくない」と言っていた。多くの人が読めないであろう珍しい名字で、日本に700~800人ほどしかいないという。妻は次女で家を継ぐ必要はなく、婿養子は望んでいない。「ただ、自分の名前を大切にしたいだけ」という思いだ。
結婚して新たに夫婦の戸籍をつくるには、カップルのどちらかの姓を選ばなければいけない。カメラマンは自分が改姓しようと決めた。名字を変える手続きはめんどくさそうだったが、抵抗感はなかった。
◆「うちの姓を名乗る女性を連れてこい」両親は激怒した
だが、プロポーズから半年後、埼玉県の実家に1人で帰省した際、改姓の意向を伝えると両親は激怒。「長男だから」「うちの姓を名乗る女性を連れてこい」「墓はどうする」。父親のけんまくに驚いた。
サラリーマン家庭で、由緒ある家系ではない。50代の父親が、これほど前時代的な考え方だとは思わなかった。「向こうが名前を変えるまで家には来るな。相手に会う気はない」。母親も父親に同調し、聞く耳をもたなかった。
「名字を変えたくないというだけなのに、悪者扱いされないといけないの」「なんで普通の希望を言っただけで、家を壊す人みたいに言われるの」。その夜、両親の反応を電話で伝えると妻は泣いた。
◆法律婚に踏み切れず、やむなく事実婚を選択した
その後も、改姓したくない妻の気持ちを「わがまま」だと非難する両親と意見は平行線のまま。両親に無断で法律婚に踏み切ることもできず、昨年2月に自治体のパートナーシップ制度を利用して、事実婚を選択。結婚式はせず、鹿児島県与論町の海辺でウエディングフォトだけ撮った。幸せの絶頂のはずなのに、どこかむなしさを感じた。
結婚に伴い改姓しようとして両親に猛反対され、絶縁状態となった東京新聞の男性カメラマン(右)。結婚式はせず、写真だけ撮った(本人提供)
自治体が、結婚に相当する関係であると証明するパートナーシップ制度には法的な効力がない。病気や事故など、互いの身に万一のことがあった時、本当に家族と見なされるのか。そう考えると不安で、本当は法律婚を望んでいる。友達や周囲には「結婚している」と言っているが、現状を結婚と呼べるのか。引け目を感じて複雑な心境だ。
◆「改姓を女性だけの痛みにしてはいけない」
夫婦で別々の姓を名乗ることができる選択的夫婦別姓制度があれば、問題は解決すると感じている。実現を願ってきたが、導入に慎重な高市早苗政権下で、逆風は強まっている。
戦後の民法改正で家制度は廃止されたのに、その名残や慣習は今も根強い。内閣府の調査によると、2024年に婚姻届を提出した夫婦のうち94%は女性が改姓した。カメラマンも、問題に直面するまでは、どこか人ごとだったが、今は強く思っている。「改姓を女性だけの痛みにしてはいけない」
◆祖母は「2人の好きにしなさい」と味方してくれた
祖父の死を契機に両親との関係は悪化したが、かすかな希望も残っている。祖父を亡くした祖母が味方になってくれたのだ。
改姓問題で両親ともめていること、葬儀への参列を断…
(略)
引用元: ・結婚で妻の名字に変えようとした東京新聞カメラマンの壮絶体験 実家と亀裂、「家族」と見なされなくなって:東京新聞 [少考さん★]
俺も妻の苗字にしたけど村八分なんかされんぞ
言うほど少なくない

