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高田泰2025.1.10(前略)
運行している路線は紀勢本線。JR亀山駅(三重県亀山市)から紀伊半島を海沿いに回り、JR和歌山市駅(和歌山市)へ至る384.2kmの路線だ。亀山駅から新宮駅までをJR東海、新宮駅からJR和歌山市駅までをJR西日本が運行し、新宮~和歌山間にきのくに線の愛称がつけられている。
沿線のうち、新宮~白浜間95.2kmは、1987(昭和62)年度に4123人あった輸送密度(1km当たりの1日平均輸送人員)が、2023年度で935人に落ち込んだ。国土交通省の有識者会議が路線のあり方を見直す基準として示した輸送密度1000人を下回る。しかも、2023年度の赤字額は約29億円。運行本数も減る一方で、おおむね1時間に1本程度しかない。
■人口半減と競争力不足が突きつける現実
沿線は急激な人口減少が続き、最も人口が多い新宮市で約2万6000人。あとは人口2万人に満たない小規模自治体ばかりだ。串本町やすさみ町、古座川町、太地町、那智勝浦町は2050年に2020年比で人口が半減すると推計されている。普段使いで利用を増やすには限界が見える。
期待されるのは観光利用だが、高速道路は徐々に紀伊半島南部まで進み、大阪市から所要時間約3時間で最南端の串本町に到達する。料金はETC利用で4000円足らず。これに対し、特急列車はJR大阪駅(大阪市北区)からJR串本駅(串本町)まで約7400円の運賃で3時間半近くかかる。所要時間、交通費とも競争力がない。
和歌山県と白浜町以南の沿線8自治体、JR西日本、和歌山大学は2022年、紀勢本線活性化促進協議会内に新宮白浜区間部会を設置し、利用促進策の検討に入った。
・サイクルトレイン(自転車をそのまま持ち込める鉄道サービス)
・観光列車の運行
・団体利用への運賃補助
などの対策を打ち出してきたが、まだ効果は見えない。沿線の一部自治体から「この人口減少下で利用増は困難」と厳しい見方が出るなか、部会の事務局を務める新宮市企画調整課は
「沿線で実施したアンケート調査を分析し、新しい施策を検討したい」
とあきらめていない。
JR西日本は新宮~白浜間の輸送密度や営業収支を毎年公表しているが、直ちに路線廃止を視野に入れた協議を求めているわけではない。ただ、部会の初会合で
「大量輸送という鉄道の特性が十分に発揮できていない」
と述べ、将来のあり方について検討が必要との考えを示唆した。
JR西日本が2024年4月に提示した輸送密度2000人達成に向けた特急利用者の目標値も議論が沸騰した。提示内容は「あくまで一例」として示したものだが、
・新宮駅(和歌山駅方面):84人(2022年) → 240人(2026年、186%増)
・紀伊勝浦駅:137人 → 450人(228%増)
・串本駅:58人 → 210人(262%増)
・白浜駅(新宮駅方面):14人 → 40人(186%増)
という現実離れした高い数字が並んでいた。沿線自治体のうち、串本町は地域公共交通計画で駅乗降客に現状維持、新宮市、那智勝浦町、白浜町は微増の目標値を掲げている。多くの自治体がJR西日本の数字を
「廃止に向けた議論と誤解される」
などと反発し、8月の会合で
・新宮駅:105人(25%増)
・紀伊勝浦駅:185人(35%増)
・串本駅:66人(14%増)
・白浜駅:16人(14%増)
と修正された。自治体の主張が通った形だが、この数字で経営改善は望めない。串本町の民間ロケット発射場から12月中旬に打ち上げられた小型ロケットのカイロス2号は、紀伊田辺駅(田辺市)~新宮駅間を走った臨時列車に多くの乗客を集めた。那智勝浦町観光企画課は
「利用促進に役立ちそう」
と期待するが、打ち上げ回数が大幅に増えなければ波及効果は小さい。
■私鉄路線も厳しい状況に
和歌山県内で経営が厳しい路線はきのくに線の新宮~白浜間だけでない。南海電鉄高野線の紀伊清水駅(橋本市)以南や和歌山市を走る加太線、和歌山港線、御坊市の紀州鉄道、和歌山市と紀の川市を結ぶ和歌山電鐵の貴志川線も苦しい状況に追い込まれている。
南海加太線の駅別1日平均の乗降客数は2023年度で127~1293人。1日1万人以上の乗降客を持つ駅が並ぶ南海本線に比べ、1~2けた少ない。和歌山港線や高野線の紀伊清水駅以南も同様だ。
紀州鉄道は年間数千万円程度の赤字を計上している。
※全文は引用先で
引用元: ・【和歌山】鉄道「総崩れ」の危機? 年間30億円の赤字垂れ流し区間も! 人口維持さえ難しい現状 [七波羅探題★]
これ(人口減)は日本全体もそうだし