こちらは広島県福山市で「今年もカモが来た」という情報が寄せられ、撮影した映像です。かわいいですよね…。
実は、この映像、当初は数日前に放送する予定で準備を進めていたんですが、驚きの事実が判明…。あらためてしっかり確認したうえで、お届けすることになりました。
先月30日、RCCのカメラが捉えたのは…。
「あっ、いましたいました」
かわいく身を寄せ合う鳥の親子です。排水溝で小さくまとまっています。
「1、2、3、・・・10」
10羽ほどが、仲良く泳ぎだしました。
ここは福山市中心部の住宅街です。川幅3mから5mほどの用水路に、「今年もカモが来た!」と近隣住民の間で話題となっていました。
(住民たち)
「かわいいすごい」
「通るたびにいるのかなぁと思って数を数えてあっ10羽いるなぁとか」
「(いつも登下校の時に見たりする?)はい。(どんな思いで見ている?)かわいいなぁと思って」
住民によると、おととしからこのあたりで子育てをするようになったそうで、ことしは先月の10日前後に子どもが初めて姿を見せました。
水草の間を泳ぎエサをついばんでいます。育ち盛り…、食欲は止まりません。しばらくすると…。お母さんの呼びかけで、大きく広がっていた子どもたちは一斉に集まります。猫やカラスなど外敵から身を守る術なのかもしれません。
日も暮れて来て今夜のねぐらを決めたようです。しかし最後の一羽が登れません。
やっと登ることができ、これでようやくみんなが揃いました。
近隣住民たちは絶え間なくやって来てこの親子たちを見守っていました。そして、RCCでは、「街中に現れたかわいいカモの親子」として、癒しの映像をお届けする予定でした。しかし、このあと、専門家から、衝撃の事実を知らされることになるのです…。
かわいい映像…としてだけで放送することには慎重になったほうがいい…、そう指摘するのは、広島市安佐動物公園の畑瀬淳さんです。
今回、撮影した映像を見てもらったところ…。
「このクチバシがですね細かい模様がなくてのぺーっとした感じの色に見えますよね。目のところを通っている過眼線(かがんせん)という線があるんですけど濃かったり太かったり頭のてっぺんも濃いので顔立ちがすごいハッキリして見えます。このへんも少し不自然な点ですね。このあたりのウロコ模様もこの乱れ方も『マガモ』だともっときれいに整然と並んでいます」(広島市安佐動物公園 畑瀬淳さん)
畑瀬さんによると、今回、私が「カモの親子」と思って撮影したのは…。
「『マガモ』から作りだされた家禽で『アヒル』っていますよね、その『アヒルの一種』だと思ってもらったらいいかと思います」(広島市安佐動物公園 畑瀬淳さん)
撮影した鳥について畑瀬さんは、「『自然のマガモ』と『野生化したアイガモ』とが交配して生まれた可能性がある」と推測します。
『アイガモ』は『マガモ』と『アヒル』を掛け合わせてできた鳥で、アイガモ農法では水田で除草や害虫駆除に利用されてきました。しかし一部で、その『アイガモ』が逃げるなどして野生化することが問題となっているといいます。
つまり、撮影した鳥は、マガモの種(しゅ)の中でアヒルの品種が混ざってできた「雑種のアヒル」と判断したそうです。
「人の管理下にない家畜というのは本来あるべきではないあってはいけないものなんです。彼らがそこにいることによってどんなことが起きるのかなっていうことをこの映像を見られている方それぞれが考えていただけるといいことなのかなと思います」(広島市安佐動物公園 畑瀬淳さん)
専門家が指摘したのは、このほほえましい映像からは想像もしていなかった社会問題…。どんなにかわいいと思っても、増えるのを手助けするような「エサをやる」などの行為はいけないようです。
前半、癒しの映像と思ってみていたら、思いもしない展開でしたね…。もちろんかわいい様子を見るのはいいけれども、エサをやる…などはしてはいけないということですね。
畑瀬さんによると、こうした例は、福山に限らず、県内で確認されているということです。動物のことを詳しく知っているからこそ、生態系のことなどを考えた専門家の指摘…。こういったこともあるということを、心にとめておく必要があるということですね。
撮影 斉藤亘(中国放送)
引用元: ・【広島】 「かわいいカモの親子が話題」と放送予定 専門家から「ちょっと、待った!」のワケ [朝一から閉店までφ★]