虐待逃れても頼れず
中村さんらは、親の虐待から逃げるため離れて暮らしたり、困窮世帯で親の支援が期待できなかったりするケースを想定。大学生活を続けるため、生活保護を受給できるよう訴えている。署名活動を9月に始め、既に2万2000人分が集まった。
中村さんも虐待を経験している。幼い頃から親に暴力を振るわれ、十分な食事も与えられなかった。マヨネーズを付けたティッシュをかんで空腹をしのいだこともある。過酷な成育環境から抜け出そうと、自力で進学費用をためて22歳で看護系の大学に進学した。
看護師の夢に向かって日々、勉強を重ねていたが、過去の虐待経験による心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症。アルバイトもできなくなり学費と生活費に窮したため、地元の役所を訪れて生活保護に頼ろうとした。
「大学はぜいたく品。退学か休学してから相談に来てください」。役所の職員からこう言われ、門前払いされた。受けていた奨学金だけでは生活できず、休学すれば奨学金が支給されない。学生生活を続ける手だてがなくなり、やむなく退学した。
進学は「ぜいたく品」扱い
大学生が生活保護を受給できないのは、厚生労働省の1963年の通知に基づく。当時の大学や短大への進学率は15%程度で、大学進学は「ぜいたく品」扱い。近年は、専門学校などを含む高等教育機関への進学率が80%を超えている。
中村さんは「大学進学がぜいたくだったのは昔の話。大卒でないと取れない資格、就けない仕事がたくさんある」と強調する。
署名活動に協力しているのは、仙台弁護士会で生活保護問題に取り組んでいる太田伸二弁護士。厚労省で現在、5年に1度の生活保護制度の見直し議論が進められているが、大学生への受給には否定的な意見が多かったため、中村さんらと連携して制度改正を求めている。
太田弁護士は「現行の施策では虐待などで切迫した大学生を救えない。生活保護の適用を認めるべきだ」と強調する。
集まった署名は今月18日にも加藤勝信厚労相に提出する。オンライン署名サイト「change.org」で賛同を募っている。
河北新報 2022年10月9日 6:00
https://kahoku.news/articles/20221008khn000035.html
引用元: ・「大学生にも生活保護認めてほしい」 ネット署名、既に2万人超 [蚤の市★]