2022年10月11日 08時00分 公開
[山下裕毅,ITmedia]
Innovative Tech:
このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
スコットランドのHeriot-Watt University、フランスのUniversity Paul Sabatier、米University of Sussexによる研究チームが発表した論文「Selective neutralisation and deterring of cockroaches with laser automated by machine vision」は、ゴキブリを自動的に射殺できるデバイスを提案した研究報告だ。カメラでゴキブリを捉え、その位置にレーザー光を照射して殺傷する。
ゴキブリをレーザー光で撃退する概要
https://image.itmedia.co.jp/news/articles/2210/11/tm1636144_sl10071_1_w490.jpg
ゴキブリを殺すための製品は数多く発売されているが、今回は殺虫剤や毒餌ではなく、レーザーによる照射で無効化する方法を提案する。
システムは、機械学習ソフトウェアが動作する小型電子機器Jetson Nano、カメラ2台、ガルバノスキャナーシステム、設定可能なレーザーで構成する。
装置の外観
https://image.itmedia.co.jp/news/articles/2210/11/tm1636144_sl10071_2_w490.jpg
駆除する一連の流れは次のようになる。まずゴキブリがカメラに映ると、物体検出のニューラルネットワークモデルがリアルタイムに画像処理を行ってゴキブリの位置を特定する。データを受け取ったガルバノスキャナーシステムが2枚のミラー(反射鏡)を用いてレーザー光の方向を制御し、ゴキブリに照射する。
実験ではチャバネゴキブリ150匹を用意し、透明プラスチックボックスに入れた。600mmまたは1200mmの距離にレーザー装置を置いて、レーザーの出力も300mV(弱)と1600mW(強)の2種の威力を設定した。
結果、300mWのレーザーを照射したゴキブリは、1.6Wのレーザーを照射したゴキブリと比較して、移動速度が増加していることが確認できた。
これは一般的に個体を無力化(殺傷)するためには、レーザーを約2?3秒間照射し続ける必要があり、この弱いレーザー出力では、ゴキブリが即死せずレーザー光の外に素早く移動したためである。反対にレーザー1.6Wは、レーザー300mWよりもゴキブリの無力化に有効であった。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2210/11/news037.html
引用元: ・ゴキブリを自動で見つけレーザーで殺す装置 数万円で自作も可能 [朝一から閉店までφ★]