12月に閣議決定される2023年度当初予算案に向けて、岸田文雄首相の看板政策「新しい資本主義」に関連するとして、各省庁が既存事業の予算増額を相次いで要求している。中には50年以上続く事業で求めるケースもあり、便乗や看板の掛け替えを疑う声が出ている。重点事業のみに予算を増やしていくという政府方針は、形骸化している。(山田晃史、近藤統義、砂本紅年)
◆1971年度から続く事業も
政府は、8月末に締め切った予算の概算要求で、既存事業の減額を求める一方、重要政策への増額要求を認める「特別枠」を設けている。年末に向け編成が本格化する23年度予算では、新しい資本主義に関係する事業や、その実現を目指す経済財政運営の指針「骨太の方針」に記された事業が特別枠の対象となっている。
経済産業省は1971年度から続く休廃止鉱山の鉱害防止工事費の一部を盛り込む。担当者は「新しい資本主義のデジタル田園都市国家構想にある減災・防災の戦略に当てはまる。最近は雨が多く、抜本的に強化したい」と話した。中小企業支援も従来ある事業の看板の掛け替えが目立つ。
内閣府は特別枠に70項目以上を要望したものの、既存事業が約8割に上る。迎賓館の管理運営費の一部もそれに含まれる。担当者は、骨太の方針に記載されたテロの未然防止を挙げ、「国賓らの警備の予算として要求した」と説明した。農林水産省も特別枠に44項目を要望したうち、新規事業は1割しかない。環境省は自然公園の保護と活用のための整備費の一部を6年連続で盛っている。
◆「予算を効率化する目的が形骸化」
既存事業なのに、各省庁が予算要求できるのは、新しい資本主義の定義が曖昧で対象が幅広く、経済成長とは関係のない事業でも要求可能なためだ。政権の主要施策は予算が重点配分されるため、既存事業を特別枠に入れるなどして、予算の確保を図る動きは例年見られる。
各省からの23年度の特別枠への要望総額は、4兆3000億円を超えている。金額を明示せずに要求している事業もあり、予算編成での厳しい査定が求められている。
国の財政に詳しい大和証券の末広徹チーフエコノミストは「新しい資本主義の概念自体が曖昧で各省庁が便乗しやすく、予算が膨張してしまう」と分析。「予算を効率化する目的が形骸化している」と指摘する。
東京新聞 2022年10月27日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/210353
引用元: ・新しい資本主義なのに…新しくない事業の予算増額要求が止まらない [蚤の市★]
公約に沿った政策に関連する事業について成果に伴って配分するんだ
薄っぺらい。