長寿の人が多い「ブルーゾーン」では何が起きるのか
ダン・ビュイトナー : 研究者、探検家、作家
2022/11/23 16:00
どうしたら、生き生きと輝く毎日を過ごしながら長生きできるのだろう。
研究者で探検家であるダン・ビュイトナーは、雑誌『ナショナル・ジオグラフィック』とチームを組み、研究者たちをも巻き込んで、「長寿者」が多く暮らすエリア「ブルーゾーン」にそのヒントを探す旅に出る。
100歳を超えて長生きする人々──いわゆる「百歳人(センテナリアン)」たちは、何を食べ、どのような環境で、どんな生活習慣を持ち、何を大切にして暮らしているのか。健康長寿の秘密を探るルポルタージュ『The Blue Zones(ブルーゾーン) 2nd Edition(セカンドエディション)』から、ビュイトナーのルポルタージュの一部を紹介する。
ブルーゾーンの1つ、ギリシャのイカリア島に移り住んだ1人の男性に起こったある出来事は、はたして奇跡か、それとも……。
余命6カ月を宣告されて──
第2次世界大戦後の60年間に、25万人ものギリシャ人がアメリカに移住してきた。その中に、スタマティス・モライティスという小柄な男性がいた。彼はエーゲ海に浮かぶ小さな島、イカリア島の出身である。
スタマティスは、手の治療のためにアメリカに渡った。そのままアメリカに残り、ニューヨークのポートジェファーソンに住み、家や学校のペンキ塗りの仕事に就いた。誠実で仕事熱心だという評判がすぐに広まった。その後、オハイオ州に移り、さらにフロリダ州のボイントンビーチに移り、ローズ・ケネディの家の塗装を担当した。
その間に、13歳年下のギリシャ系アメリカ人女性エルピニキと結婚し、3人の子どもをもうけ、3LDKの家と1951年製のシボレーを購入した。つまり、彼はアメリカンドリームを手に入れたのである。
60歳代前半となったスタマティスは、ある日、仕事中に息切れを感じた。息切れの頻度は日増しに高くなっているようだ。階段を上るのもひと苦労。医者がレントゲンを撮ったところ、スタマティスはすぐに肺がんと診断された。
おそらく、長年にわたるペンキの煙の吸い込みや、1日3箱の喫煙習慣が原因だろう、と。しかし、スタマティスにはその理由がよくわからなかった。さらに4人の医師が診断結果を確認した。余命6カ月から9カ月と宣告された。
スタマティスは、ボイントンビーチに残り、地元の病院で積極的ながん治療を受けることを考えた。そうすれば、大人になった3人の子どもたちのそばにいられる。
しかし、ふと思いついて、故郷のギリシャ・イカリア島に戻ることにした。
コバルトブルーのエーゲ海を見下ろすオークの木蔭のある墓地に、両親と一緒に埋葬してもらうのだ。ボイントンビーチで葬儀をすると最低でも1200ドルはかかるが、イカリア島で立派な葬儀をしても200ドル程度で済み、老後の蓄えを妻のエルピニキに残すことができる。彼は、同胞と祖先の間で死のうと決めた。
移住して数カ月後に起こった不思議なこと
スタマティスと妻のエルピニキは、島の東海岸にあるアギオス・キリコスという町の郊外にある、なだらかな2エーカー(8094平方メートル)のブドウ畑の中にある白亜の小さな家に、スタマティスの年老いた両親と一緒に引っ越してきた。ここでは、ユリシーズの時代から伝説となっている海のそよ風が1年中吹いている。
最初、彼は母と妻に看病されながら、ベッドの上で過ごしていた。
しかし、人生の終わりが近づいていることを感じた彼は、宗教とのつながりを取り戻すことを決意した。日曜日の朝、家を出て丘を登り、祖父が司祭を務めていたギリシャ正教の小さな礼拝堂に足を運んだ。
彼が戻ってきたことを知った幼なじみたちは、定期的に彼を訪ねてくるようになった。彼らは何時間も話をし、必ず地元産のワインを持ってきてくれて、彼はそれを1日中飲んでいた。彼は思った。これで、幸せに死ねるかもしれないと。
その後の数カ月間、不思議なことが起こった。体力がついてきたのだ。
https://toyokeizai.net/articles/-/633474?page=2
引用元: ・【特集】故郷に移住した「余命6カ月の男」に起きた重大変化 長寿の人が多い「ブルーゾーン」では何が起きるのか [朝一から閉店までφ★]
長さん?
長さん?
コバルトか