「万里の長城」の呼称でも知られる中国の長城は、世界最大規模の建造物として有名だ。ところが、長城などの古建築研究の専門家である中国長城研究院の趙琛院長によると「長城の長さは実は、まだ決められないでいる」という。どういうことなのだろうか。趙院長はこのほど、中国メディアの中国新聞社の取材に応じて、長城の長さを決めるために解決せねばならない問題について説明した。以下は趙院長の言葉に若干の説明内容を追加するなどで再構成したものだ。
■長城の長さを確定するために、測量に先立ってせねばならない仕事
長城の長さの算出は単純な作業ではない。まず大前提として、関係者の長城に対する認識を統一し、測量基準を統一し、計算方式を統一せねばならない。
長城と言えば普通、北京市郊外の八達嶺で見られる巨大な壁を連想するだろう。だが、長城はさまざまな造られ方をしてきた。そもそも、長城が長大な防御壁として機能するためには、何が必要だったのか。長城が防御システムとして機能するための諸施設を考えねばならない。中国共産党と中国政府は2019年に「長城・大運河・長征国立文化公園建設方針」を発表した。同「方針」は、長城を定義し直した。新たな定義によれば、のろし台や駐屯施設、宿舎、関所、塹壕、城壁、物見やぐらなどすべてを長城の構成要素とした。
長城は戦国時代の諸国や、中国の複数の王朝が建設した。中には地方政権に終わった王朝もある。そこで「方針」は「戦国諸国、秦と漢の長城、北魏、北斉、隋、唐、五代、宋、西夏、遼が建設した長城としての特徴を持つ防御システム、さらに(金が築いた堀である)金界壕、明の長城」すべてを長城の概念に含めることにした。
■現在も続く「長城施設」についての新たな発見
新たな定義で発生する問題は、「長城の長さとは何か」を改めて考えねばならないことだ。長城は一本の線ではなく、体系的に分布する帯状の建築群だ。長い壁だけでなく、壁に付随して壁とは別の方角に伸びるのろし台や駐屯場所がある。長城の壁から枝分かれする支城が存在する場合もある。それらについても長さの計算法を決定せねばならない。
また長城の多くの部分は壁を建築するのではなく、厳しい山の尾根などの天険を利用している。川によって守りを固めていた部分もある。これらの部分を長城の長さに算入すべきかどうかは、学界でも意見が一致していない。計算方式の決定は、早急に解決すべき問題だ。
また、中国には陸上の長城のほかに、水上の長城もある。例えば、河北省秦皇島市山海関区の老龍長城、遼寧省興城古城の山海城島防衛システム長城、浙江省臨海市の江南長城、明と清が建設した海防軍事システムだ。中国大陸部の省レベル行政区は31あるが、長城はうち15の行政区に存在する。文化財調査の際には、多くの省が、長城として申請されていない文化財の場合は長城としての計算に含めていない。
長城の長さなどについてかつて得られた数字は、間違っていなくてもそのままでは使えなくなってしまった。われわれの認識が変化し、長城の定義も変更されたために、長城の長さの算出法も変化したということだ。
※続きは元ソースで
Record China 2023年1月3日(火) 18時40分
https://www.recordchina.co.jp/b906650-s41-c30-d0198.html
引用元: ・【レコチャ】長城の長さは今も確定できていない―専門家が最も重要な「意外な問題」を紹介 [Ikh★]
まぁ緑のペンキをぶっかけて緑化成功なお国柄ですし