ハンマー持った男が筆談で「もっと出せ」「これだけしかないのか」茨城県龍ケ崎市強盗事件の被害者が語る

14日午前1時ごろ、寝室に使っていた1階居間のガラス窓の割れた「ガチャーン」という音と妻（74）の「キャー」という悲鳴で目を覚ました。男性はベッドで就寝中。妻はその横の床にふとんを敷いて寝ていた。侵入してきた男に両肩をつかまれた男性は、引き起こされて口に粘着テープを張られた。「声を出すな」「筆談で答えろ」と低く静かな声で命じられた。

男性は「怖くて顔を見られず、ずっと伏し目がちにしていた。部屋も暗かったので外見の特徴はあまり覚えていない」と振り返った。男から「金はどこにある」と質問を受けた男性は財布を置いていた洗面所を指さした。その後、無言で案内して洗面所の電気をつけた。そのときに男がハンマーを握っていたことを初めて視認したという。タオルなどを収納している引き出しに入れていた財布から現金2万円と1000円札4～5枚を男に渡した時に、もう1人包丁を持った男がいることが分かったという。

ハンマーを持った男が筆談で「もっと出せ」「これだけしかないのか」などと迫ってきたが、男性も筆談で「これしかありません」と返答。この後に風呂場に座らされ、両手首と両足首、両ひざを粘着テープでぐるぐる巻きにされた。その間も男からはくぐもった小さな声で「声を出すな」とクギをさされ続けた。

さらに筆談で「金庫の場所を書け」「カギはどこだ」と続けて聞かれ、男性は金庫の場所の地図を書き、カギのある場所を指さした。金庫には現金を入れていなかったこともあり、男から「通帳はどこだ」と問われて3つの銀行の通帳を差し出した。この際には筆談だと時間がかかるため「小さな声でしゃべれ」との命令に変わり、男性は年金を引き落としたばかりで預金残額の合計が約5万円であることを伝えた。

まとまった現金がなかったからなのか、男性は別の居間に連れていかれ、そこで妻と一緒になった。妻は口にテープをはられてうつぶせにさせられていた。ここで初めて3番目の男がいることが分かったという。「いつのまにか最初の2人の男がいなくなり、残りの男もいなくなった。手首を動かすとテープが外れたので寝室に戻った。枕元に私の携帯電話が残っていたので110番通報をした」。通報は午前2時45分だった。

男性は素手やハンマーなどで「こづかれた程度」で軽症、妻も口にテープをはられて、はがしたときに上唇を傷つけ、こちらも軽症だった。

3人の強盗グループが逃走したあと、固定電話の電話線は何かで切断されていた。3台ある車のカギは、玄関の壁につるしていた2台分がなくなっていた。通帳3つに関してはそのまま残っていたという。

10日に栃木県足利市の自宅で襲われた50代男性も、日刊スポーツの取材に当時の様子を明かしている。共通点は（1）1階の部屋の窓ガラスを割って侵入（2）強盗グループは2人以上。犯行の際は携帯電話で連絡を取り合っていた（3）怒鳴ったり大声を出すことはなかった（4）被害者の手首、足首、ひざを粘着テープでグルグル巻きにする（5）逃走する前に固定電話の線を切断していたことだ。

足利市の事件との相違点は（1）声を出させず筆談を強要（2）電気のブレーカーを落としていない（3）携帯電話を残したこと。男性は「私が高齢者なので携帯電話を使わないと勘違いしたのか、枕元の携帯電話を探しきれなかったのか。それは分からない」と話した。【寺沢卓】

日刊スポーツ
https://news.yahoo.co.jp/articles/2116f572bded432174154a0c9dd0e4f9808d735d

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