一般選抜の志願者数は、大学の人気投票ともいえる。では、2023年度入試で、受験生からの支持が多かった首都圏の難関私立大はどこなのか。早慶上理(早稲田大、慶應義塾大、上智大、東京理科大)とGMARCH(学習院大、明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)についてみていこう。志願者数は7日までに確定した方式の集計で、前年同時期と比較した増減でランキングした。
現時点で志願者の伸びが最も大きいのは明治大で、すでに10万人を超えている。予備校関係者はいう。
「明大を早慶に次ぐ憧れの大学とする受験生は多い。全学部が同じ日に入試を行う全学統一日程など、早慶より受験機会が多いことも志願者増の背景にあるのでしょう」
2位の上智大は、全体の志願者が2万6552人と首都圏の難関私立大の中では規模が小さいが、志願者の増え幅は大きく前年比18%増。4教科で実施していた大学入学共通テスト利用入試で新たに3教科型を導入した。そのため私立大志望者が受けやすくなり志願者大幅増につながった。
3位の中央大は受験料の割引制度を廃止したことなどから、22年度の志願者が大幅に減った。23年度はその反動とともに、看板学部の法学部が東京郊外の多摩キャンパス(八王子市)から都心の茗荷谷キャンパス(文京区)に移ることで957人、9%近い増加となったことも大きい。
中央大と同様に、4位の学習院大も前年に志願者が減った反動から1473人、9%増だ。対照的に、22年度の一般選抜で1万7000人以上増え、10万人台の志願者を回復した法政大は、難化を嫌う受験生の影響もあり、現時点で6197人ともっとも志願者が減少した大学となっている。
最難関の早慶上理では、慶大が483人減と前年並みの志願者を維持する一方、早大は、前年の志願者増の反動もあり2964人減である。早大は21年度入試で、政治経済など3学部で共通テストと大学独自試験を組み合わせる方式を導入したことから、一般選抜の志願者が大幅減となった。特に政治経済学部は、共通テストの数学を必須としたことから減少幅が大きかったが、23年度入試でも志願者は戻っていない。
「数学は政治経済学部で学ぶのに必須といえ、『高校時代に学んできてほしい』というメッセージです。入試変更で志願者が減少しても、早大はそれほど気にしていないでしょう」(予備校関係者)
6位の東京理科大は、既存の理工学部を「創域理工学部」に名称変更した。この変更に対する受験生の認知不足もあり、創域理工学部の志願者が思ったほど集まらなかったことが、大学全体の志願者減の一因となった。
GMARCHでは、法政大とともに、青山学院大(8位)と立教大(9位)といった女子受験生の人気が高い大学も大幅に減った。女子受験生の進路の多様化が進み、他の総合大学を選ぶ受験生が増えているのかもしれない。
■井沢秀(いざわ・しげる) 大学通信情報調査・編集部部長。1964年2月6日、神奈川県生まれ。明治大学卒業後、受験情報・分析を主力事業とする大学通信入社。大学の入り口(入試)から出口(就職)まで、情報を収集し発信中。中高・大学受験の案内書・情報誌を編集するほか、新聞社系週刊誌、経済誌などへの情報提供と記事執筆を行う。
夕刊フジ2023.2/17 15:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20230217-5PS3U64RRFJBZIYTB5HSOKCUII/
引用元: ・【進学】首都圏難関私大志願者増減ランキング トップの明治大は5500人増、早慶に次ぐ「憧れ」に [七波羅探題★]