シリーズのなかでも特に子供人気の高い『ウルトラマンタロウ』。しかし、それゆえに「子供向け」というレッテルで語る人も少なくありません。はたして本当にそうなのでしょうか?
神秘性からファミリー性に舵を切ったウルトラマン
本日4月6日は1973年にウルトラマンシリーズ第5弾『ウルトラマンタロウ』が放送開始した日。今年は50周年にあたります。子供人気が高かったと言われている本作について、その理由を紐解いていきましょう。
本作は先に放送開始していた『ファイヤーマン』、『ジャンボーグA』と同じく「円谷プロ創立10周年記念番組」として制作されます。その最大の特徴として、それまで神秘的だったウルトラマンからの脱却にあると言われていました。
もともと製作途中の仮題だったのは『ウルトラマンジャック』で、これは西洋のおとぎ話で「ジャック」という名前がよく使われるということから名付けられたそうです。リオに「華麗にロマンを謳う空想怪奇シリーズ」と記されていたように、本作は最初からファンタジー要素を考慮していたのでしょう。
そのため、おとぎ話から連想される名称を使ったわけです。この点を踏まえると、作品後半にあった一風変わった展開の「日本の童謡から」シリーズは、テコ入れの類でなく本作当初の流れだったのでしょう。
しかし、このタイトルに待ったをかけたのが当時の世相です。「ジャック」という名前が、世界的に多発していた「ハイジャック」を連想するということで変更を余儀なくされました。そこで日本のおとぎ話でよく使われている「太郎」から、「ウルトラマンタロウ」という名前に決まります。
こうした流れとは別に、本作のイメージを決定づけたのが「ウルトラの母」の登場でした。前作『ウルトラマンA』で登場した「ウルトラの父」に続く登場で、他のウルトラ兄弟と違って、このふたりの実の子供という設定をタロウに与えたことで、兄弟から家族というファミリー感あふれる世界設定がシリーズに組み込まれます。
こういったウルトラマンのファミリー化は、その神秘性を失わせ、より身近なヒーローというイメージをタロウに与えました。それまで秘密のベールに包まれていたウルトラの国も本作から頻繁に登場するようになり、雑誌などからフィルムにはない設定が発表されます。
この他にも本作の特徴に、子供を中心にしたドラマが多いことが挙げられるでしょう。そのためかコミカルな描写も増え、登場する怪獣もそれまでの恐怖の対象というイメージだけでなく、どこか愛嬌のある姿で描かれることも多くなりました。
さらにその作風からか、怪獣に生身で戦いを挑む民間人の姿もあり、どこかユーモラスに描くことで本作の作風を決定づけた感じがあります。そして、アットホームすぎる「ZAT」という防衛隊組織の活躍が本作のイメージを決定づけました。
こうして子供番組として製作された本作の児童層への人気は高く、何度か行われた再放送でも他のシリーズよりも高い人気を得ることになります。実際、その後にウルトラマンシリーズに参加する役者のなかには、本作をもっとも好きな作品としてあげる人も少なくありません。
しかし逆を言えば、「子供向け」というレッテルで本作を語る人が多いのも事実です。時には「『タロウ』の脚本なら自分でも書ける」といった意見まで、書籍に掲載されたこともありました。ウルトラマンシリーズでもっとも人の意見が分かれる作品、それが本作『ウルトラマンタロウ』でしょう。
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「ウルトラマンタロウ COMPLETE DVD-BOX」(バンダイビジュアル)
引用元: ・『ウルトラマンタロウ』放送50周年 「幼稚」と古参ファンから非難され…「子供向け」を貫いた功績 [愛の戦士★]
お袋が「ほら、タロウの人だよ」って俺に教えてくれてた。