もちろん咳をしたり風邪をひいたりするのは、子どもだけではない。同僚がちょうど新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を発症した。
症状は急速に現れ、彼女は「貨物列車にひかれたようなものだよ」と表現した。「懐かしいね」と別の同僚はコメントした。さらに別の同僚は次のように返した。「コロナってまだ存在してるの?」
保健医療を扱う記者として、新型コロナウイルス感染症をパンデミック初期から追ってきた私は、今でも定期的かつかなりの頻度でこの質問を受ける。
そこで、新型コロナウイルスが今どのような状況に置かれているのか、確認してみよう。
私たちが知っているのは、新型コロナウイルス感染症が2020年に世界中に広まったということだ。その年の1月9日、中国当局は肺炎に似た疾病の奇妙な集団感染が、新型のコロナウイルスによるものだと断定した。
その数日後、初の死亡者が報告された。以来、700万人以上が新型コロナウイルス感染症で死亡したことが確認されている。実際の死者数は、それよりも大きいと考えられている。
現在までに確認されている世界の感染者数は、7億6700万人を超えている。
最終的にワクチンは、少なくともある程度は新型コロナウイルスの抑制に役立った。6月27日時点で、全世界で134億回以上のワクチンが接種された。現在では、感染の報告件数は大幅に減少した。
7月3日のWHO(世界保健機関)の報告では、1週間の新型コロナウイルス感染症の感染者数は14万3898人だった。依然として感染は続いているが、昨年7月3日時点での1週間の感染者数である630万人に比べると、大幅な減少となっている。
数字が減った要因の一部には、検査を受ける頻度が変わったこと、世界中で無料検査が受けにくくなっていることも挙げられるかもしれない。
ワクチンを接種した人でも感染することはあるが、仮に感染しても症状はより軽度で済むはずだ。ということは、無料検査の機会が減少すれば、病気にかかっても検査を受ける人が圧倒的に少なくなることを意味する。
つい先日公開された研究結果によれば、有症状者は48時間空けて検査を2回受けるべきだという。感染した可能性を自覚している無症状者の場合は、検査を3回受けるべきだとしている。
昨年の冬のように、感染者数が急増する可能性はある。2022年12月19日、WHOの記録では感染者数が4400万人を超えた。ありがたいことに死者数は減っているが、それでもまだ死者は出続けている。最新のデータによると、7月3日までの1週間の新型コロナウイルス感染症による死者数は497人だったという。
今年1月の死者数ははるかに多く、毎週2万から4万人が亡くなっていた。
繰り返すが、これは新型コロナウイルス感染症による死者数のうち、記録されている分にすぎない。実際の死者数はおそらくもっと多いはずだ。
後遺症(ロング・コビッド)については誰も話したがらない。長く続く痛みや苦しみなどの症状を抱える人の数は、把握されていないが相当な数に上る。
科学者たちは、どんな形であれ新型コロナウイルスに感染すれば、その後に後遺症が残る可能性があると考えている。
引用元: ・【新型コロナはもう「終わった」のか?】 現状を整理する