その理由は、漂白剤が入った水を客に提供して食中毒を起こし、中央区の保健所が、9月8日から4日間の営業停止処分を科したためだ。
天一は1930(昭和5)年に創業。ランチのコースが1万円を超える高級店だ。
食中毒が起きたのは8月31日の夕方のことだった。経営コンサルタントの男性が、席を予約した上で、午後6時ごろに夫婦で訪れた。
女性店員が水1杯とウーロン茶2杯を持って来て、妻が水を一気に飲んだが、この水に漂白剤が入っていたのだ。
妻が改めてコップの水の臭いをかぐと、明らかな刺激臭がしました。私にそれを伝えているとき、女性店員が、あろうことか無言でコップを持ち去り、厨房へ向かったのです」(経営コンサルタントの男性)
妻は、喉の痛みを感じ始めていたが、コップを持って行かれればコトがうやむやにされてしまうと思い、女性店員を追いかけて厨房に行った。すると女性店員は、厨房入口の洗い場でコップの水を捨てようとしていたため、妻がコップを奪い返し、カウンターに戻って来た。
妻に促されて男性もコップの臭いをかぐと、強烈な塩酸のような臭いがした。妻は、対処しない店員を横にして携帯電話で110番通報したが、ノドの痛みが激しくなったため夫に携帯電話を預け、指を口に突っ込んで吐こうとした。
「その時、別の女性店員が来て、『ここでやると迷惑なので、トイレに移ってください』と言ったのです。妻はそれどころではありませんでした。また、このやり取りを見ていたカウンターの料理人も、さも迷惑そうな顔で見ていたのです」(コンサルタントの男性)
男性が電話で事情を説明し、築地警察署の警官が急行すると聞いて電話を切ると、妻のノドの痛みはさらに増し、カウンターにうつ伏せになって苦しむようになった。ここでようやく天一側も事態を認識して、テーブルポットの水をコップに入れて来て、ノドをすすぐように促し始めたのである。
しかし、コンサルタントの男性の怒りはさらに増した。
「私が、『この水はどこの水を注いだのか?』と男性店員に聞くと、『このテーブルポットの水を注ぎました』と答えましたが、テーブルポットには氷が入っていて水は冷たく、無臭。妻が飲んだのは常温の水で、明らかに嘘でした」
憤慨した男性が立ち上がって厨房に向かうと、洗い場の脇にステンレス製のピッチャーが置かれ、フタを開けて臭うと強烈な刺激臭がした。男性を追って来た女性店員を問い詰めると、このピッチャーの水を入れたことを認めたという。
こうして、男性にとっては天一側の“証拠隠滅”の行為を追及した後、カウンターへ戻ると、妻は「喉が焼けるように痛い」と言って、氷入りの水を飲んでは吐くを繰り返していた……。
漂白剤入りの水を出した原因は、女性店員が容器を間違えたことだ。
天一銀座三越店では、ステンレス製ピッチャーに天つゆを入れており、洗浄する際には、業務用漂白剤を水で薄めて漂白していた。女性店員は、飲料水が入ったテーブルポットと、無造作に置かれた漂白中のピッチャーを取り間違え、漂白剤の入った水をコップに注いでしまったという。
「しかし、ステンレス製ピッチャーは全面がステンレス製で、1.79リットル入り。テーブルポットは、胴部はステンレス製ですが、上部と取っ手が黒のプラスチックで、0・5リットル入り。この2つは、形状も大きさも明らかに異なるので、おいそれと間違えるとは思えないのです」(男性)
午後6時45分ごろ、築地警察署の警官4、5人が到着した。天一側が呼んだ救急車が到着したのは、1時間近く過ぎた午後7時20分ごろだった。
妻は東京医科歯科大学病院に搬送された。救急医の所見によれば、「漂白剤に含まれる次亜塩素酸ナトリウムの誤飲による急性中毒であり、腐食性食道炎や食道穿孔の危険があり、集中治療のうえ、経過観察のために3日~5日の入院を要する」とのことだった。
しかし、その後の天一の対応は、男性をさらに呆れさせるものだった。
「これほどの重過失を起こしたのに、天一は翌日も営業していました。『営業は構わない』と警察に言われたとのことですが、中央区の保健所に報告したのは、3日後の9月3日だったのです。私たちは天一の対応を許すことはできず、築地警察署に業務上重過失傷害等で被害届を出しました」(コンサルタントの男性)(抜粋)
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引用元: ・【社会】銀座 天一、漂白剤入り水で女性客嘔吐→店員「ここで吐くとは迷惑な」と言った上に「ポットの水」と嘘…東京