エコーチェンバーの弊害が指摘されて久しいが、それでも現代人はネット依存から自由になれない。最近ではエコーチェンバーを利用してカンパ集めが横行している。(フリーライター 鎌田和歌)
読売新聞、朝日新聞でも話題
ネットの仲間内で極端思考
これまでも何度か取り上げてきたネット上の「エコーチェンバー」が、また一部で話題になっている。
エコーチェンバーとは、SNSの「おすすめ」、あるいは自分が作り上げたタイムラインにより、自分の好む情報ばかりが目に入りやすくなる状態のことである。自分の目に入る範囲内の情報に強く影響され、特定の情報を信じ込んだり、特定の団体や人物への誹謗(ひぼう)中傷につながってしまうことがある。
このエコーチェンバーの主な場所がX(旧ツイッター)であることに、異論のある人はいないだろう。ツイッターがXに改称され、イーロン・マスク氏によるさまざまな変更を改悪だと評するユーザーも多いが、それでもXのユーザーが目に見えて減ることはない。そして数年来指摘され続けているエコーチェンバーによる悪影響は、むしろ増加の一途をたどっているように見える。
続きはソース元で
引用元: ・陰謀論者が悪魔合体して「共通の敵」をバッシング!スパチャ感覚で訴訟やカンパも [Hitzeschleier★]
(6)エコーチェンバーを集金につなげる
Xをつぶさに確認している人なら、ここ1年でこの動きが活発になっていることがわかるだろう。具体例を挙げれば、「敵」と認定した相手への訴訟や、「敵」からの訴訟に備えるという目的でカンパを集めるなど、「敵」との戦いを理由に寄付を募る行為が見られる。
これは、好きなインフルエンサーやタレントなどにファンが、YouTubeの投げ銭機能「スーパーチャット(スパチャ)」や有料noteの販売、あるいはAmazonの「ほしいものリスト」を利用して、金銭や物品を贈る行為から派生したとみられる。最近特徴的なのは、直接、口座番号をネット上に公開してカンパを募る点だ。また単なるファンではなく、「同じ敵を持つ同志への応援」といった感覚でカンパを行う人が増えているように見える。
カンパは相手に対する尊敬や敬愛の一つの形というだけではなく、「敵」への攻撃になることが意識されているのだ。自分の敵対する集団がどれだけ嫌われているかを示すために率先して、エコーチェンバーにかかった人たちはカンパをする。そして集まったカンパ額を誇る。そのような心理状態もうかがえる。
(7)離反者に対するリンチ
エコーチェンバーにかかった集団がいつまでも一枚岩というわけではない。むしろ、ささいなことから、同じ集団にいるフォロワー数の多いインフルエンサーに疑問を持つなどして、集団から離れる者もいる。
すんなりと離れられれば問題はないが、この際に離反者として元の集団からネット上でのリンチ行為が行われることがある。元々いた集団を批判したり、「敵」とされた集団への理解を示したりした場合である。