同日開いた情報通信審議会(総務相の諮問機関)の通信政策特別委員会で、全国町村会や自治体から意見を聞いた。
NTT法改正を巡ってはNTTに課された固定電話の全国一律の提供義務の見直しは論点の一つだ。
同法では光ファイバーを含むブロードバンドの義務は規定されていない。固定電話の利用が減る一方、通信の重要性は増している。総務省は固定電話中心からブロードバンドを軸とした制度に改める方向性を打ち出している。
この日の会議で、高知県の浜田省司知事は光ファイバーを責任を持って整備する事業者として「7割超のシェアを持つNTTでなければ担うことは難しい」と強調し、「義務のあり方を明確にし、制度化してほしい」と訴えた。出席した全国町村会や北海道稚内市もNTTに対する義務化に賛成した。
21日の会議では、全国知事会はブロードバンドについて「公共的な役割のあるNTTに義務を担ってもらいたい」と期待感をにじませた。
NTTは国際競争力の強化に向けて自由な事業展開ができるような法改正を要望している。固定電話事業は赤字が続くため「市場の実態や技術の進展にそぐわない電話時代の規制ルールは見直しが必要だ」とけん制する。
ブロードバンドの義務化には、十分な交付金や無線通信を含めた柔軟な制度設計を併せて検討する必要があるとの見解を示す。
高速通信の基盤となる光ファイバー網は2021年度末時点で全国の99.7%の世帯をカバーする。政府は27年度末までに99.9%にする目標だが、現時点で16万世帯が整備されていない。離島や過疎地は事業の採算が合わないといった理由で民間が敷設しないケースが多い。
総務省は不採算地域での光ファイバー整備を支援するため、新設や民間への移行にかかる費用の一部を補助している。24年度予算の概算要求で63億円を盛り込んだ。23年度当初予算に比べて1.5倍に増やした。
過疎地を中心に全国の150万世帯以上は民間ではなく自治体が敷設している。老朽化や維持更新費の負担、人材不足といった課題があり、安定したサービスを提供できるか懸念される。将来の人口減がより進めば、インフラ維持が困難になる可能性もある。
日本経済新聞 2023年9月25日 19:17
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA253Y90V20C23A9000000/?n_cid=SNSTW005
引用元: ・光ファイバー網「NTTに提供義務を」 自治体が要望 [蚤の市★]