覚醒剤使用事件で無罪判決　使用後の注射器洗った水を飲んだと供述、故意なしと判断　東京地裁

2023年10月3日22時8分

覚醒剤取締法違反（使用）の罪に問われた男性被告（52）に東京地裁（平出喜一裁判長）は3日、使用に故意はなかったとして無罪判決を言い渡した。求刑は懲役4年だった。

男性は2019年12月～20年1月に覚醒剤を使ったとして起訴され、検察側は尿検査で覚醒剤の成分が検出されたと指摘。男性は逮捕直前、警視庁の警察官から渡されたペットボトルの水を飲み、これは知人女性が覚醒剤使用後の注射器を洗うために使ったと思うと公判で述べていた。

検察側は、男性は未開封のペットボトルの水を飲んだとしたが、平出裁判長は警察官が未開封と誤認して渡した可能性が否定できないなどとし、男性の主張が虚偽との証拠はないと結論付けた。

弁護側は、警視庁愛宕署が撮影した逮捕当日のデータが記録されたDVDが再生できなくなっており、被告に有利な証拠が隠滅されたと主張。捜査担当の警察官らは原因について「記憶にない」と説明したが、平出裁判長は署側が何らかの操作をしたとし「真実の申告をしていないことは、適正な捜査手続きへの信頼を大きく害する」と非難した。一方、捜査手続きに違法性はないとした。

東京地検の新河隆志次席検事は「判決内容を十分検討して適切に対処したい」とコメントした。（共同）