●有資格者の就職を阻む言葉の壁
日本の蒸し暑い夏のなか、ITスペシャリストの資格を持つスリランカ出身のムルムルは、建設現場で毎週末働いている。
パン店でも仕事をしているが、収入を補うためだ。東京にやってきたのは1年前。
人口危機対策と外国人労働者の受け入れ増加に向けた取り組みの一環として創出された雇用機会を生かそうと考えていた。
だが、それは大変なことだった。人手不足とされているのに、自身にも理学療法士の資格を持つ妻にも、立ちはだかったのは言葉の壁だった。
どんな病院でもN1がいる、と言われます。IT関係の仕事でもです」と、ムルムルは説明する。N1とは、日本語能力試験の最上級で、約2000字の漢字を理解する能力が必要とされる。
当初は日本に5年間滞在するつもりだったが、2人は別の場所への移住を検討している。おそらく英国になるだろう。そこには親戚がおり、妻も同国の国民保健サービス(NHS)で仕事を見つけられると考えているためだ。
(中略)
●厄介者扱いされてきた外国人労働者
日本が海外から熟練労働者を受け入れるためには大きな転換が必要となる。
外国人労働者を一時的にでも必要としながらも厄介者のように扱っていたのはそう昔のことでもないのだ。
1990年代に工場で働くために来日した日系ブラジル人の待遇は典型的事例だ。
血統が重視されたため、日系移民の子孫であるブラジル人には、他の外国人に比べて優先的にビザが発給された。
しかし、そうしてやってきた人々の大半は日本語を話せず、文化的にもブラジル人であることが明らかになった。
2008年の世界金融危機により企業が労働者を解雇せざるを得なくなった際には、日本政府は労働者
一人当たり30万円を支給して帰国させ、二度と帰ってこさせないようにした。
さらに受け入れの障壁を示すより昔の事例として、在日コリアンがある。
朝鮮半島の日本統治時代(1910~45年)には、何千人もの朝鮮人が日本で働くよう強制された。
その子孫の40万人以上が日本に住んでいるが、特別永住資格は有しているものの、日本国籍も選挙権も与えられていない。
東京生まれのパク・クァンは、自身のアイデンティティについて二つの国籍の中間にある「ニュートラル」なものだと感じているという。
学校に通い始めたころに差別を受けたことを覚えているが、その7年後に末の弟が就学するころには状況が変わっていたという。
現在はグローバル企業に勤めているので、もちろん外国人もいますし、自分の出自は問題になりません。日本の企業に勤めていたら状況は違ったかもしれませんけれど」
続きはクーリエ・ジャポン
2023/10/09
https://courrier.jp/news/archives/339978/
引用元: ・「低賃金に言葉の壁…そんな日本で働きたい外国人なんてまだいるの?」と英紙ガーディアン [おっさん友の会★]