東京・赤坂のジャニーズ事務所前には、この日午前中からファンの姿があった。今月5日にロゴの看板が外されてはいるが、スマートフォンや一眼レフカメラなどで外観を撮影していた。10年前からファンという20代女性は「社名が変わるのは残念なことだけど、これまで通りジャニーズを愛する気持ちは1ミリも変わりません。ジャニーさんのやったことは確かに許されるものではないですが、メンバーたちには前を向いて頑張ってほしい。その姿をこれからも後押ししていきたいです」と語った。
所属タレントグッズを販売する各地の「ジャニーズショップ」も営業を終了した。大阪・梅田の店舗では開店前からファンが多数訪れた。入店は事前予約制だが、予約がとれなかったファンの姿もあった。偶然この日が代休だったというなにわ男子のファンの中学生2人組は「せめて写真だけ撮りたいと思ってきました。応援していく気持ちは変わりません」。閉店時間の午後6時30分を過ぎても、約200人が終了の瞬間を見守った。予定より33分オーバーした午後7時3分、警備員が「閉店しました」とアナウンス。スタッフが店名の案内板一部を消し始めると、ファンはその姿をじっと見守った。午後9時ごろから、「Johnney’s」と明記されたガラス窓フィルムがはがされ、見守っていた約100人ファンから悲鳴が上がった。
先月7日の同事務所の会見で、新社長東山紀之(57)が一度は社名存続の方針を表明していたが、スポンサーやテレビ局はじめ各所から批判を浴びた。今月2日の2度目の会見で東山は社名変更を正式発表。「全て『ジャニーズ』と付くものはなくなります」と述べていた。同事務所社員も対応に追われ、17日から順次「SMILE-UP.」としての名刺を使い、メールアドレスも「@」以下などが変更となる予定。各公式サイトやSNSアカウントなども切り替わる。
同事務所は来月から被害者補償をスタートすることを表明しており、現在は被害者救済委員会による聞き取りなど準備が進んでいる。「SMILE-UP.」は今後マネジメントや育成業務から完全に撤退し、被害者補償が終わり次第廃業する。来月頭までに東山が社長、井ノ原快彦(47)が副社長を務める新エージェント会社を設立する予定で、希望タレントは全員移籍するという。新会社はファンクラブの公募で新社名を決める。
広く親しまれた「ジャニーズ事務所」が“最後の日”を迎えた。藤島ジュリー景子前社長(57)の「ジャニー喜多川の痕跡をこの世から一切なくしたい」という言葉の実現に向け、再出発への第1歩となる。