「肥満症薬」の販売が急増で食品売れなくなる？　業界超え広がる波紋

　糖尿病や肥満症の治療に使われる新型薬の売り上げが、米国を中心に世界で急増している。美容目的の「やせ薬」として使われる例もあり、品不足も起きている。食欲を抑える効果があるとされることから、食品業界などにも波紋が広がっている。　薬は「GLP―1受容体作動薬」と呼ばれ、体内でインスリンの分泌を促して血糖値を下げる働きがある。もともと2型糖尿病の治療薬として開発された。一昨年、デンマークの製薬大手ノボノルディスクの「ウゴービ」が肥満症薬として米国で承認されたことで、食欲を抑え体重を減らす効果が注目を集めた。

2日にノボ社が発表した決算で、ウゴービの1～9月の売り上げは日本円換算で約4600億円と、前年同期の5倍に急増。同様の成分の糖尿病治療薬「オゼンピック」は約1・4兆円と、1・6倍に増えた。

米製薬大手イーライリリーが昨年発売した糖尿病治療薬「マンジャロ」も、1～9月の売り上げが4500億円近くに達した。マンジャロや開発中の同様の薬への期待から、同社の株価は今年に入って6割ほど上昇。企業価値を示す時価総額は製薬会社として世界一となった。

三つとも注射薬で、米欧や日本で順次、承認・発売が進む。売り上げが伸びているのは糖尿病や肥満症の患者が多いことが主因だ。品不足も起きており、製薬会社側は増産に取り組んでいる。

一方、保険を使わない自由診…(以下有料版で，残り688文字)

朝日新聞　2023年11月3日 18時00分
https://www.asahi.com/articles/ASRC356FRRC3ULFA001.html?ref=tw_asahi