【弁護士】コロナワクチンの接種を多く受けた人ほど確実に死亡率が減っている、接種者と未接種者で明確に死亡率の差が出ている

コロナは「パンデミック（世界的流行）」から「エンデミック（一定の周期で繰り返される流行）」に移行したと考えていいのか。日本政府はこれまで、正しくコロナ政策を打ち出すことができたのか。コロナ禍に集めた様々なデータを突き合わせると何が分かるのか。

『全検証　コロナ政策』（角川新書）を上梓した弁護士の明石順平氏に聞いた。（聞き手：長野光、ビデオジャーナリスト）

ワクチン接種に積極的だった日本とその効果

──スウェーデンは、最初から「コロナを他の感染症と違うものとして扱わない（特別視しない）」という姿勢で、感染対策や重症化対策に力を入れませんでしたが、本書のデータを見るとやはり死者数などの数はたいへん多いですね。

明石：隣国と比較しても、スウェーデンは圧倒的に多くの方が亡くなっています。あの戦法でいくのは無謀だったということだと思います。

──日本は世界的に見ても、ワクチンの接種に積極的で、特に追加接種「ブースター接種先進国」であったと書かれています。また、データを見ると、ワクチンの接種を多く受けた人ほど確実に死亡率が減っている。日本政府のワクチン戦略を、どう評価されますか？

明石：死者数を抑え込んでおり、効果的だったと思います。ワクチンの接種がなかなか始まらず、スタートは遅いと言われましたが、その後はたくさん接種の機会を持ちました。日本は、コロナ以外のワクチンの接種はそんなに積極的でもありませんが、コロナに関しては政治主導で思いきりはっぱをかけた。

2022年以降はオミクロンが大流行したので、もはやワクチンで感染を押さえ込めたとは言えませんが、神奈川県の調査などを見る限りでは、接種者と未接種者で明確に死亡率の差が出ているので、重症化予防という意味では効果が出ています。基礎疾患のある方や高齢の方は接種することに大きな意味があると思います。

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/78052

＜新型コロナ＞接種回数増えるほど死亡率が下がる傾向　神奈川県が算出、HP掲載
https://www.tokyo-np.co.jp/article/224282

神奈川県は、高齢者の新型コロナウイルスのワクチン接種回数別の感染者死亡率をまとめ、接種回数が増えるほど死亡率が下がる傾向にあると明らかにした。集計結果を県ホームページに掲載している。

接種歴なしの死亡率は１・４２％、一回は１・２７％、二回は０・９７％、三回は０・５５％、四回は０・３３％、五回は０・２１％だった。

また、二回目以降の接種から経過した日数別の死亡率では、百八十一日以上が０・７４％だったのに対し、十五～六十日では０・２７％だった。これらの結果は、年齢を八十歳以上に限定しても同様の傾向だった。

県によると、ワクチン接種の回数別や経過日数別による死亡率の検証は全国的に珍しい。県は「ワクチンを接種するか決める際の参考にしてほしい」とする。