中国メディアは、国内の小児科病院の一部が患者であふれていると報じた。肺炎症例の波は国内各地へと拡大。世界保健機関(WHO)は中国に対し、推定される感染源の詳細情報の報告を求めた。
これまでのところ中国当局は、既知の病原体であるマイコプラズマ菌、RSウイルス、インフルエンザ、新型コロナウイルスを病原として挙げている。
マイコプラズマが原因の細菌性疾患は、症状が比較的軽く、発症しても歩けるほどであることから「歩く肺炎」と呼ばれているが、症状は数週間続くこともある。
一般に入院を必要としないが、免疫が発達途上にある幼い子どもは重症化するリスクがある。
中国で原因不明の肺炎が拡大し、病院がその対応に追われているという報道は、新型コロナウイルス流行の初期を想起させるものだ。
だがWHOの疫学者マリア・バンケルコフは24日のインタビューで「これは2019年12月と2020年1月の状況と同じではない」と語った。
中国以外でも、韓国とフランスで同様の肺炎症例が増加しており、主な原因としてマイコプラズマが疑われている。
韓国では、確認された症例数が10月中旬から11月中旬の間に2倍以上となっている。
韓国疾病管理庁が発表した概要によると、11月第2週に急性細菌性呼吸器感染症で入院した患者236人のうち226人(96%)が、マイコプラズマ肺炎を発症していた。
特に、新規患者の80%が5歳未満だった点が注目される。さらに当局は、韓国で寒い気候が早期に訪れたことが、症例の「急速な増加」に寄与した可能性を示唆した。
マイコプラズマ肺炎は、一年中いつでも発症し得るものだが、冬季に増える傾向がある。北半球でも南半球でも、冬季にはインフルエンザ、風邪(さまざまなウイルスによって起きる)、風邪と似た症状を起こすRSウイルス感染症が、ほぼ必ず増加する。
細菌感染症にも似たような季節性がある。細菌感染症は日和見性であると言われ、何らかのウイルスによって免疫系が弱まることで発症する。
たとえば、インフルエンザ、RSウイルス、あるいは一般的な風邪にかかった人は、上気道や下気道の感染症である気管支炎や肺炎を引き起こすことがある。
新型コロナウイルス感染症が今も広まっていることで、人々の免疫が弱まり、マイコプラズマ肺炎の急増につながっているという説もある。
新型コロナウイルスに感染した人の一部で免疫機能障害が数カ月以上続くことを示す証拠はあるが、新型コロナウイルスが原因の免疫障害がまん延している証拠はない。
一方、新型コロナによるロックダウン中に季節性疾患が減少したことで「免疫負債」が生じ、マイコプラズマ感染の増加につながったという説もある。
現在の中国における状況を受け、WHOは新型コロナの流行により発生した「免疫ギャップ」にも言及している。
ソーシャルディスタンスや移動制限など、新型コロナの拡大を防ぐために講じられた措置が、インフルエンザ、RSウイルスなどの疾病に対する免疫を弱め、マイコプラズマのような日和見感染を起こしやすくなった可能性があるという考えだ。
しかし、この仮説に関する統一見解は出ていない。むしろ専門家の間では、一般に広く免疫負債が存在しているという説については以前から懐疑的な見方が示されている。
たとえば、感染後の免疫がどれだけ続くかは、ウイルスによって異なる。インフルエンザウイルスの場合、ある年の感染が翌年の感染予防につながるかどうかは、その年のウイルス株が前年の株とどれほど類似しているかによって異なる。
さらに、マイコプラズマ感染が周期的に流行を繰り返している(2011年、2015年、および2019年に急増した)ことも、現在の症例急増が「免疫ギャップ」とは無関係であることを示唆している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/1cbe314f41e85473130db61c3a2a17d79d698f54
引用元: ・【中国で原因不明の肺炎が拡大】謎の小児疾患の正体は 「歩く肺炎」か、韓国とフランスでも同様の肺炎症例が増加