また、世界全体では推定6500万人が、後遺症に悩んでいるとされる。
こうしたなか、プロバイオティクス(有用な微生物)が後遺症の症状の緩和にいくらか役立つ可能性があることを示す研究結果が、英医学誌「The Lancet Infectious Diseases(ランセット・インフェクシャス・ディジーズ)」に発表された。
■原因は依然不明
後遺症の原因は、いまだ明らかにされていない。研究者らがこれまでに挙げている「考え得る病因」には「新型コロナウイルス感染症を引き起こすウイルスのSARS-CoV-2が体内に残っている」「SARS-CoV-2が自己免疫疾患を引き起こした」「血栓ができ、認知機能に影響を及ぼしている」などがある。
「腸内細菌叢(フローラ、またはマイクロバイオーム)が変化した」ことも、原因の可能性があるとされていることの1つだ。腸内フローラのバランスが崩れることが一部の病気と関連していることは、すでに報告されている。
■腸内を観察
腸内フローラのバランスと新型コロナ後遺症の関連性について調査するため、香港中文大学の研究チームは、感染者106人の腸内細菌叢を観戦から6カ月にわたって調査した。
その結果、腸内フローラは、後遺症がない人の場合は感染していない人と同様の状態だった一方、後遺症がある人の場合は、変化していたことが確認されたという。
このことから、研究チームが「腸内フローラの『修正』によって、後遺症の症状は治療可能ではないのか?」と考えたことは、当然ともいえるだろう。
この疑問に対する答えを明らかにするため、チームは二重盲検プラセボ対照試験を実施した。
6カ月間にわたり、後遺症がある232人にプロバイオティクスとプレバイオティクス(有用な細菌の活動を促す微生物)1日2回投与、コントロールグループとした231人にはプラセボを投与した。さらに、症状の変化について確認するため、アンケート調査を行った。
その結果、プロバイオティクスとプレバイオティクスを投与されたグループは、記憶障害や倦怠感、集中力の低下など、いくつかの種類の症状に改善がみられたという(ただ、なかにはプロバイオティクスの投与を受け、改善しはしたものの、統計的に有意なレベルではないという症状もあった)。
また、糞便サンプルのメタゲノム解析の結果では、プロバイオティクスを投与されたグループには腸内細菌の多様性が増していたこと、一部の種類の細菌の量が増加していたことが明らかになった。
これらは、興味深い研究結果といえる。だが「治療としてのプロバイオティクスの投与が、すべての症状の大幅な緩和につながるとはいえない」可能性があることには、注意が必要だ。
さらに、症状の改善はコントロールグループの一部からも報告されている。6カ月の間に「体調が全般的に改善した」と答えた人は、プロバイオティクスの投与を受けたグループの77%。そして、プラセボを投与された人の59%となっている。
つまり、プロバイオティクスの投与という「治療」は、後遺症の症状の改善の程度を高めていたとみられる一方、その投与だけが、改善の要因だったわけではないと考えられる。
研究チームは最終的に、プロバイオティクスによる治療が後遺症の症状の軽減につながるものかについて判断するためには、さらなる研究が必要だと指摘している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5800ca45035946c90033620bc663f4c330db7705
引用元: ・【研究】「腸内フローラ」がコロナ感染後遺症にも関連? プロバイオティクスの効果に注目
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