高齢者虐待、相談・通報が過去最多　介護疲れや業務負担が要因　滋賀

　高齢者虐待防止法に基づく厚生労働省の全国調査のうち県内分について、県が先月30日の県議会厚生・産業常任委員会で公表した。老人ホームなどの施設職員による虐待についての相談・通報件数は25件で、このうち7件11人を虐待と認めた。　家族らによる虐待（複数回答）は「身体的虐待」（62％）が最も多く、「心理的虐待」（38％）、「介護放棄」（20％）、「経済的虐待」（15％）などが続いた。また、虐待の深刻度で「最重度」（生命の危機などで直ちに保護が必要な状態）と判断された人は19人、それに次ぐ「重度」は46人だった。被害者の性別は女性が72％、年齢別では「80～84歳」が最も多い22％だった。また、被害者のうち210人（66％）が認知症（または疑い）とみられるという。

一方、施設での虐待については、身体的虐待が9件、心理的虐待が4件、介護放棄が2件。虐待者は「介護職」が8人で、他は管理職、施設長（各1人）だった。

常任委員会で、県は家族らによる虐待の要因として、「介護疲れ・ストレス」「介護力の低下や不足」「知識・情報の不足」の割合が高いと説明した。また、施設による虐待は「職員の業務負担の大きさ」が大きな要因とみている。外国人労働者など多様な人材の参入に加え、介護ロボットの導入や介護記録へのICT（情報通信技術）の活用推進が職員の負担軽減となり、施設利用者に対する質の高いケアにつながるとしている。

毎日新聞 2024/2/4 09:46（最終更新 2/4 09:47） 749文字
https://mainichi.jp/articles/20240204/k00/00m/040/019000c