【質問】現代社会では人種差別や性差別は絶対に許されないけど、学歴差別だけは許されるみたいですね。その理由を教えてください。

1: 安倍晋三@基本情報技術者試験合格者 2024/03/30(土) 19:09:02.26 ID:oG6ck TID:mabelrabbit
「人種差別や性差別が嫌われている時代にあって、学歴偏重主義は容認されている最後の偏見なのだ」マイケル・サンデル『実力も運のうち 能力主義は正義か?』試し読み
https://www.hayakawabooks.com/n/n2c36e7aad3a2
容認されている最後の偏見

イギリス、オランダ、ベルギーで行なわれた一連の調査で、社会心理学者のあるチームがこんな発見をした。大学教育を受けた回答者は、教育水準の低い人びとに対する偏見が、その他の不利な立場にある集団への偏見よりも大きいというのだ。
この研究者チームは、高学歴のヨーロッパ人が、差別の被害者になりやすいさまざまな人びと──イスラム教徒、西欧に暮らすトルコ系住民、貧しい、太っている、目が不自由、低学歴といった人びと──にどんな態度をとるかを調べた。
すると、教育水準の低い人びとがとりわけ嫌われていることがわかった。

アメリカで行なわれた似たような調査では、研究者たちが不利な立場にある集団の改訂リストを提示した。
このリストには、アフリカ系アメリカ人、労働者階級、貧しい、太っている、低学歴といった人びとが含まれていた。アメリカ人の回答者もまた、学歴の低い人びとを最下位にした。

つまり、人種差別や性差別が嫌われている(廃絶されないまでも不信を抱かれている)時代にあって、学歴偏重主義は容認されている最後の偏見なのだ。
欧米では、学歴が低い人びとへの蔑視は、その他の恵まれない状況にある集団への偏見と比較して非常に目立つか、少なくとも容易に認められるのである。

この研究論文の執筆者たちは、大学卒のエリートが学歴の低い人びとに向けるさげすみの目を明らかにしただけでなく、いくつかの興味深い結論を提示している。
第一に、高学歴のエリートは学歴の低い人びとよりも道徳的に啓発されており、したがってより寛容であるというよくある考え方に異論を唱えている。高学歴のエリートも低学歴の人びとに劣らず偏見にとらわれているというのが彼らの結論だ。「むしろ、偏見の対象が異なっているのだ」。
しかも、エリートは自らの偏見を恥と思っていない。彼らは人種差別や性差別を非難するかもしれないが、低学歴者に対する否定的態度については非を認めようとしない。

引用元: ・【質問】現代社会では人種差別や性差別は絶対に許されないけど、学歴差別だけは許されるみたいですね。その理由を教えてください。

2: 安倍晋三@基本情報技術者試験合格者 2024/03/30(土) 19:09:20.56 ID:oG6ck TID:mabelrabbit
続き>>1

第二に、こうして恥の感覚が欠如する理由は、能力主義に基づく自己責任の強調にある。エリートたちは、貧しい人びとや労働者階級に属す人びと以上に、学歴の低い人びとを嫌う。
貧困や所属階級は、少なくともある程度まで、個人の力ではどうにもならない要因によるものだと考えているからだ。対照的に、学業成績が悪いのは個人の努力不足であり、したがって大学へ行けなかった人の落ち度を示すというわけだ。
「労働者階級とくらべると、学歴の低い人びとはより責任が重く、より非難に値すると見なされる。彼らはより大きな怒りを買い、よりいっそう嫌われるのだ」

第三に、学歴の低い人びとに不利なこうした評価は、エリートだけのものではない。学歴の低い回答者自身が、それを共有しているのだ。ここからわかるのは、成果に関する能力主義的見解がいかに深く社会生活に浸透しているか、それが、大学へ行けない人びとの自信をどれほど失わせるかということだ。
「学歴の低い人びとが、自身に押しつけられた否定的な属性に反抗しているという形跡は見られない」。
それどころか、彼らはこうした不利な評価を「内面化しているようにすら思える」し、「学歴の低い人びとは、学歴の低い人びと自身によってさえ、自らの状況に責任があり、非難に値すると見なされている」。

最後に、論文の執筆者たちによれば、能力主義社会において大学へ行く重要性を執拗に強調すれば、大学の学位を持たない人びとの社会的汚名を強めることになるという。
「教育こそ社会問題を解決する万能策なのだと示唆すれば、社会経済的な地位の低い集団が特に否定的に評価される一方、能力主義のイデオロギーが強まるリスクが大きくなる恐れがある」。
そうなれば、人びとはさらに躊躇なく不平等を受け入れ、成功は能力の反映だと信じやすくなる。
「教育が個人の責任だと見なされれば、人びとは、教育の違いから生じる社会的不平等への批判を弱める可能性が高い……教育成果の大部分が受けるに値するものだと考えられるなら、その帰結もまた受けるに値するものなのである」

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