【米サウスフロリダ大学研究】超加工食品が大腸がんのリスクを高める

重要なポイント
不適切な食生活によって引き起こされる慢性炎症は、大腸がんの増殖と進行に重要な役割を果たしている。
この研究では、最先端の技術を用いて、包装食品に使用されている超加工食品と炎症性種子油が慢性炎症にどのように寄与するかを明らかにしています。
この研究は、合成薬の代わりに天然物を使用して炎症を抑え、大腸がんを治癒させる可能性のある新しい治療法、すなわち治癒薬への道を開くものである。米国におけるがん関連死の第2位の原因である大腸がんは、食卓に並ぶ食べ物が原因となっている可能性がある。USF Healthとタンパ総合病院がん研究所の研究者らは、超加工食品と不健康な油が中心の西洋式の食生活と、腫瘍の成長を促す慢性炎症との間に潜在的な関連があることを発見した。

最近、国立衛生研究所から5年間で 310万ドルの助成金を受けた研究者らは、すでに大腸がんの理解において大きな進歩を遂げている。消化器病学と肝臓病学の代表的な国際誌であるGut誌に掲載されたこのプロジェクト初の研究では、加工食品が体の自然治癒プロセスをいかに妨げているかを検証している。

「不健康な食生活を送っている患者は、体内の炎症が増加することがよく知られています」と、 USFヘルス・モルサニ医科大学の外科教授であり、TGHがん研究所のトランスレーショナル・リサーチおよびイノベーションの副センター長でもあるティモシー・イェットマン博士は述べています。

「現在、この炎症は結腸腫瘍自体に見られ、がんは治らない慢性の傷のようなものです。体が毎日超加工食品を食べて生きていると、炎症と免疫システムの抑制により傷を治す能力が低下し、最終的にがんが増殖するようになります。」

イェットマン氏によると、この研究は、添加糖、飽和脂肪、超加工食品、化学物質、炎症性種子油の過剰摂取が典型的である西洋式の食事の構成要素を再評価する緊急の必要性を強調している。

以前の研究で、USF 健康心臓研究所は、不均衡な食事は大腸がんに影響を与えるだけでなく、アルツハイマー病、糖尿病、心血管疾患など他の疾患にも影響を及ぼすことを発見した。

健康的で加工されていない食品の例
カニ、鮭、オヒョウ、ほうれん草、芽キャベツ、海藻、藻類、牧草飼育の肉など。

超加工食品の例
アイスクリーム、ソーセージ、チップス、大量生産されたパン、朝食用シリアル、ドーナツ、炭酸飲料、インスタントスープ、一部のアルコール飲料など。

「私たちの体は、摂取するアボカドなどの健康的な脂肪から得られる生理活性脂質化合物を通じて、炎症を積極的に解消するように設計されています」と、
モルサニ医科大学のUSF健康心臓研究所の准教授であり、TGHがん研究所のがん生物学プログラムのメンバーであるガネーシュ・ハラデ氏は述べた。

「生理活性脂質は、私たちが食べる食品から得られる非常に小さな分子であり、その分子が加工食品由来である場合、免疫システムのバランスを直接崩し、慢性炎症を引き起こします。」

研究チームは、腫瘍内部で炎症を促進する分子が過剰に存在し、炎症を解消して治癒を促進する分子が不足していることを観察した。

この発見は、患者の食事のバランスを回復して大腸がんをより効果的に治療することに重点を置いた、新たな自然療法である「解決医療」への道を開くものである。

「人間の免疫システムは非常に強力で、腫瘍の微小環境に劇的な影響を与える可能性があります。健康とウェルネスのために正しく活用されれば素晴らしいことです」とイェットマン氏は言う。

「しかし、加工食品に含まれる炎症性脂質によって免疫システムが抑制されれば、それは意味がありません。」

解決医学は、オメガ3脂肪酸と「特殊な解決促進メディエーター」と呼ばれる魚油の誘導体を豊富に含む健康的な未加工食品を使用して炎症を逆転させ、バランスの取れた睡眠と運動とともに体の治癒メカニズムを回復させることに焦点を当てます。

「これは、薬物療法を超えて自然治癒力を利用することで、がん治療に革命を起こす可能性を秘めています」とイェートマン氏は言う。「慢性炎症に対処し、病気が始まる前に予防するための重要な一歩です。」

https://www.usf.edu/news/2024/how-ultra-processed-foods-may-drive-colorectal-cancer-risk.aspx

ティモシー・イェットマン博士とガネーシュ・ハラデ | 写真: ライアン・ロッシー