https://news.yahoo.co.jp/articles/d6f8e97a56be0ba67933fdb86b626ecbdbe19b05
引用元: ・なぜIT企業は“フルリモートから撤退”するのか?企業の本音はより深刻な「コンプライアンス問題」 [662593167]
LINEヤフーの方針転換は「朝令暮改」、「ちゃぶ台返し」だと批判された。同社は引っ越し費用の補助を検討するなど、従業員の負担を少しでも軽くしようと努力はしているようだ。とはいえ、《突然一律に定期的な出社を求めることは人事権の濫用であると解釈される》という専門家の見解もXでは拡散した。「一方、アメリカの大手IT企業のうち、Google、Apple、Amazonの3社はフルリモートを廃止しています。Xのオーナーであるイーロン・マスク氏はリモート勤務を『道徳的に間違っている』と強く批判するなど、もともと在宅勤務を異常なほど敵視していることで有名です。背景として指摘できるのは、まずコロナ禍が落ちつき、出社による感染リスクが低下したことが挙げられるでしょう。さらにフルリモートは社員同士のコミュニケーションを不足させるという専門家の指摘も目につきます。出社した社員がオフィスで雑談を交わすと精神的にはプラスの効果があり、仕事の質や生産性が高まるというのです」(同・記者)
■本音はコンプライアンス問題 ネットメディアの編集部で管理職として勤務する男性は「本来IT企業は他の業界に比べ、フルリモートがなじみやすい職場と言えます」と指摘する。
「IT企業の本質は、システムの構築や運用で利益を得るところにあります。プロセスよりもゴールに重きが置かれるため、極端な成果主義を採用しても問題が生じにくいはずなのです。もしIT企業において『システム開発が可能なら、どこで作業してもOK』という働き方が否定されたら、他業種では永遠にフルリモートなど不可能ということになってしまうでしょう。対面販売が必須の小売店にフルリモートを求めるのは酷ですが、フルリモートを人材獲得のセールスポイントにしているIT企業は他にいくらでもあります」
一体、IT業界に何が起きているのか、ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「この問題について、とあるIT企業の担当者に取材を依頼しました」と言う。
「その担当者によると『社員のコミュニケーション不足が原因』との報道はあくまでも表向きの理由を取り上げたに過ぎず、現場には別の本音があるというのです。一部のIT企業でフルリモートが見直されているのは、『従業員のコンプライアンス違反が見抜けないから』が本当の理由だそうです。例えば、あるシステムエンジニアが契約先の企業に派遣されていたとしましょう。コロナ禍で取引先も自分の会社も同じように『出社に及ばず』と決まりました。そのため在宅のフルリモートでシステムのメンテナンスを担当するところを想像してみてください」
■フルリモートでは困難な事情聴取
そのシステムエンジニアは自宅でコツコツと働く必要があるわけだが、オフィスに出社しないとやる気が出ない。せっかく自宅にいるのだから昼間から酒を呑んだり、ネット配信で映画を見たりしたい。要するにサボりたい。何とかして仕事をサボる方法はないかと頭を働かせる──。
「そこでプログラミングに関して高度な知識を持っている大学生を探し、会社の経費を不正に使って“下請け”を依頼するのです。優秀な大学生ですから、少しサポートすればメンテナンス業務は完璧です。取引先は満足していますし、彼も仕事をサボれて楽しい毎日を送れます。IT企業はプロセスが不問でゴールだけが重要だとすれば、このシステムエンジニアの“成果”は評価されるべきなのでしょうか?」(同・井上氏)
評価するという人は少数派だろう。「経費の不正使用を見過ごすわけにはいかない。就業規則に違反している可能性も高い」と判断する人のほうが圧倒的に多いはずだ。
「評価どころか厳重注意や懲戒処分が必要な状態だと言えます。ところが会社の経費を不正に流用した疑惑が浮上しても、出社が義務づけられている時と、フルリモートが許可されている時では、実態把握に差が生じるというのです」(同・井上氏)
■昭和でも「リモート勤務」は存在した 問題のシステムエンジニアに“事情聴取”を行う際、毎日のようにオフィスで顔を合わせていれば様々な手が使える。
「できるだけ証拠を集め、本人に問いただすことが必要です。出社が義務づけられていれば、突然に廊下で声をかけたり、何も説明せず会議室に呼んだり、と相手の不意を突くことが可能です。五感を働かせて社員の表情を見れば、正直に話しているか嘘をついているか見抜けることもあります。これがフルリモートだとオンライン会議や電話で問いただすわけですが、取材に協力してくれた担当者は『対面ほどうまくいかない』と断言していました。フルリモートから撤退する企業の中には『在宅勤務では社員が本当に働いているのか、悪いことをしていないのか見抜きにくい。これではコンプライアンスの徹底など不可能だ』という危機意識が原因だった会社もあるのです」(同・井上氏)
時代の趨勢はフルリモートに逆風となっているようだ。ならば、再びフル出勤が会社員の常識になるのだろうか。井上氏は「それも異なります」と反論する。
「一度、昭和の時代に立ち返ってみましょう。当時の営業マンは当たり前のように“直行直帰”で働いていました。『必ず出社せよ』とオフィスに紐付けられた勤務体系ではなかったのです。出社は週に一日でも大型契約を次々に取ってくる“伝説の営業マン”は、どんな会社にも1人はいたでしょう。一方、昭和であれ令和であれ、総務担当の社員はフル出勤が望ましいはずです。これからは職務の内容に応じ、リモートと出勤の適切なバランスを探っていく動きが盛んになっていくのではないでしょうか」
ちなみに俺は組み込み系なのでリモート未経験