https://news.yahoo.co.jp/articles/deadd36831e207393f0c248b1716ce24beb45087 日本では昨年末に日産とホンダが経営統合に向けた協議に入ったことが大きな話題になっている。うまく行けば、今年6月に最終合意、2026年8月に経営統合が実現する。今月下旬には三菱自動車が統合に参画するかどうかを決める予定で、そうなれば、世界3位の800万台グループが誕生することになる。確かに大きなインパクトのあるニュースだ。
引用元: ・【AERA】古賀氏「日産とホンダの“負け組”同士を統合させるのは愚策 中国企業との連携しか道はない」 [662593167]
■日本メーカー「単独」ではBYDやテスラと競えない 24年9月17日配信の本コラム「マスコミが報じる『EV懐疑論』の本質 『HV』バカ売れでもトヨタが一人勝ちできない理由」で書いたとおり、世界の自動車市場におけるEV化の流れは止まらない。そして、日本メーカーはこの流れから完全に取り残され、ほぼ挽回は無理だ。
中国の自動車大手、比亜迪(BYD)の24年の世界新車販売台数が前年比41%増の427万2145台だったと発表された。PHV乗車用の販売が7割増加したことが大きいが、EV乗用車も12%増の176万4992台と増えている。EV専業の米テスラ社の世界新車販売台数は前年比1%減の178万9226台で、BYDはこれにほぼ並んだわけだ。今の勢いだと、25年には、EVでテスラを抜き、PHVを入れた世界販売は500万台の大台が視野に入る。
ガソリン車中心のホンダは24年にすでにBYDに抜かれた可能性が高いが(ホンダの23年度の販売台数は410万台)、今年はその敗北が決定的になるだろう。
ちなみに、トヨタのEV販売は、遅々として拡大せず、26年の目標台数150万台を100万台に下げたものの、24年のバッテリーEV(BEV)の販売台数は10万台を超えるのが精一杯で、15万台には届かないと見られる(BYDやテスラなどはほとんどリアルタイムに販売台数を発表するが、トヨタなどはEVの数字がわかるのが嫌なのか発表が遅いので、現時点では24年の数字はわからない)。
日本市場全体を24年11月の数字で見ると、このうち広義のEV(BEV+PHV)のシェアは3.0%で、PHVは前年の1.4%から1.5%に増加した一方、BEVは1.9%から1.5%に減少した。メーカー別では輸入車合計(統計上の制約で合計の数字しかわからない)が3062台で最多となり、国内メーカーでは、日産が2498台で首位。前月3位の三菱は2479台を販売し、2位。3位に下落したトヨタは1743台と精彩を欠いている。
それぞれの台数の桁数の小ささには、ため息が出るばかりだ。
どんなにあがいても、日本メーカーが「単独で」BYDやテスラと競うのは難しい。
では、どうすれば良いかというと、もはや中国企業との連携しか道はないというのが正直なところだ。現に、日本唯一の生き残り自動車メーカーであるトヨタの動きは、それを示している。
■トヨタ車は事実上は「中国車」 トヨタは、技術で負けて、EVブランドでも中国では完全に地元メーカーに敗北してしまったが、かろうじて生き残ったEVへのつなぎであるハイブリッド車(HV)で稼いでいる。このHVもBYDなどのPHVに取って代わられるのは時間の問題だが、現時点では巨額の利益を上げているので、資金力では頭抜けた力を持っている。必然的に、金の力で遅れを取り戻す作戦をとることになる。
日本や米国ではEVなしでも競争できるが、中国ではEV抜きではすぐに淘汰されてしまう。しかし、トヨタといえども中国で売れるEVを作る力はない。自社開発のbZX4などは中国では全く売れなかった。
中国で窮地に立ったトヨタは、23年に発売したbZ3で、EVのコア技術と基幹部品の電池双方でBYDに全面依存して生産するところまで追い込まれた。24年に入ると、中国でPHVの販売が急増したが、これを受けて、トヨタがBYDの最新PHVシステム「DM-i」を採用するという報道も流れた。EVだけでなくPHVでもBYDの軍門に下るということになる。
さらに他の日本メーカーはもちろん、トヨタでさえ、EV化と一体で進むSDV化の動きにもまた完全に乗り遅れている。そして、自動運転も同じだ。この三つの車の「スマート化」の流れで出遅れたのは致命的である。また、電池でも、日本は中国と韓国の企業に敗北してしまった。
トヨタは中国企業と、BYDとの「協業」に加え、ネット大手の騰訊控股(テンセント)とAIやクラウドなどで、また、小馬智行(Pony.ai)とロボタクシーサービスなどで提携していたが、24年には、EVの頭脳であるスマートコックピットでなんとアメリカの制裁を受けているファーウェイとの協業を発表した。トヨタブランドでは売れないので、頭脳はファーウェイが動かしているということで中国の消費者にアピールしたかったようだ。
ここまで来ると、トヨタ車とは言っても事実上中国車と言っても過言ではない。
ここまで中国依存を強めながらもようやく発売されるトヨタの新しいEVが売れなければ、トヨタも中国市場で日産と同様の苦境に立たされることになるだろう。
ちなみに、苦境に立たされているのは日本の自動車メーカーだけではない。世界の既存の自動車メーカーは日本同様非常に苦しい立場に追い込まれているところが多い。
最近よく目にする、トヨタに次ぐ世界2位の独フォルクスワーゲンの工場閉鎖をめぐる労使対立に関するニュースなどがその象徴だ。