https://gendai.media/articles/-/148768
3/231928(昭和3)年、大阪の富商だった内藤為三郎らが国有林の払い下げを受けて開発、六甲山麓の別荘地であることから名付けられた。
山道を幅6m以上に拡張し、300坪を超える土地を1世帯あたりの標準区画とした。日本で初めて電線を地中に埋め、美観を保った。
前編記事『日本の最高級住宅街「芦屋・六麓荘」に家を建てたい客が、不動産業者にさらりと告げる「スゴすぎる要望」』より続く。
現在は、1区画につき400平方メートル(約120坪)以上、建造物は地上2階(地下1階)までと地区の協定で決められている。屋根や壁の色も派手にならないよう制限される。
「六麓荘に住むにあたっては、造成計画物などを事務局へ提出した後、近隣説明会で邸宅の模型などを提出して、どんな建築物になるかを示さなくてはなりません。六麓荘町町内会にも、入会賛助金50万円を支払って入る必要があります」(前出の東氏)
町内でも高所に住む人のほうがお金持ちといわれる。
小林製薬の創業家も
街を一回りして汗ばんだところで、六麓荘に30年近く住み続ける朝倉幸恵さん(60代、仮名)を訪ねた。
大理石でつくられた廊下はピカピカと光り、最近購入したという、「高級車1台ほどの価格」の磁器がしつらえられている。
リビングにはシャンデリアや高さ60センチほどあるスワロフスキーの照明スタンド。カーテンを開ければ、群青の大阪湾、あべのハルカスや生駒山地まで一望できた。
朝倉さんが語る。
「今、六麓荘に住む人で多いのは医療・医薬品系ですね。ほら、去年『紅麹問題』を起こした会社の創業家の方も住んでいますよ」
現在、小林製薬創業家のすぐそばには小野薬品工業の創業家が大豪邸を造成しているという。また、町内でも標高が高く、最大級の敷地面積を誇るのが武田薬品工業の創業家の邸宅である。
朝倉家の2階に上がりふすまを開けると、小さな赤い太鼓橋があった。それを渡った先には茶室がある。
朝倉さんが声を潜めながら明かす。
「コロナ禍前、六麓荘にはパチンコホールのオーナーたちが移り住んでくる傾向がありました。ここ最近は、中国人富裕層が六麓荘に住み始めています。5億円出すのもいとわない。私の知っているだけでも10軒ほどありますね」
六麓荘にある広大な物件を最近購入した中国人富裕層は、元々あった建物を取り壊して新築する予定という。
新築で移り住むと、近所の人々を呼んでホームパーティを開催するのが慣習となってきた。一流シェフを招き高級フレンチを振る舞う事例は多々あるが、今後は高級中華料理が振る舞われるケースが増えるかもしれない。
一度中国人富裕層が購入した物件は別の中国人へ転売するため、日本人の手には戻ってこないとも言われる。そのため、「このままではチャイナタウンになってしまうのではないか」と憂う声も一部の住民からあがる。
他方、日本人富裕層は利便性を求めて、豪邸を手放すこともある。
「山手側に住んでいた富裕層は、歳をとるにつれて歩きやすい平坦な土地を求め、駅近物件に住み替える人もいます。大阪に出やすい阪急線とJR線の駅近エリアは人気で、土地の坪単価は300万~500万円ほどと高額です」(前出の幸保氏)
日本人富裕層は山を降り、外国人富裕層は山へ登る―大金持ちが芦屋で見る世界も時代とともに変わるのだ。
「週刊現代」2025年3月15・22日合併号より
引用元: ・【兵庫】「チャイナタウンになってしまうのでは」中国人富裕層が住み始めた最高級住宅街「芦屋・六麓荘 [七波羅探題★]