【スウェーデン・ヨーテボリ大学研究】肝臓がんの生存率は所得格差を反映している・・・低所得世帯の人は、中所得世帯の人や高所得世帯の人と比べて肝細胞がんの発症率が5倍高く、死亡率が29%高い

ヨーテボリ大学の研究によると、最も一般的な原発性肝がんによる死亡リスクは、世帯収入が低い患者の場合、中・高世帯収入の患者に比べて約30％高いという。スウェーデンでは毎年約500～550人が肝細胞癌（略してHCC）と診断されています。これは原発性肝癌、つまり肝臓から発生する癌の中で最も一般的なものです。罹患患者の4人に3人は男性です。

研究チームは以前、世帯収入が低い人では、高い人に比べて肝細胞癌の発症率が約5倍高いことを明らかにしました。本研究の目的は、収入、教育、民族、その他の社会人口学的要因が診断、治療、生存率にどのような影響を与えるかを調べることです。

この研究では、低所得世帯の患者は、肝細胞癌の早期診断と根治的治療の実施率が大幅に低いことが明らかになりました。また、低所得世帯は、中所得世帯や高所得世帯と比較して、死亡率が29%高いことも示されました。

研究リーダーのフアン・ヴァス氏は、ヨーテボリ大学サールグレンスカ・アカデミーの地域医療と公衆衛生の研究者であり、ハルムスタードのハッランド病院の専門医でもある。

「この研究は、スウェーデンの肝細胞癌患者にとって、社会経済的な格差が、あらゆるレベルのケアにおいて健康状態の悪化に強く関連していることを明確に示しています。この結果は、社会経済的背景に関わらず、すべての患者が真に平等なケアを受けられるようにするための更なる努力の必要性を強調しています」と彼は述べています。

『ランセット・リージョナル・ヘルス・ヨーロッパ』に掲載されたこの研究は、2011年から2021年の間にスウェーデン国立肝臓登録（SweLiv）に登録された肝細胞癌の成人患者全員、合計5,490人を対象としている。

HCC の主な危険因子は肝硬変であり、単に肝硬変と呼ばれることもあります。これは、たとえば大量のアルコール摂取や肝炎ウイルス感染などによって生じる慢性の肝臓の炎症によって引き起こされる肝臓の病理学的機能低下です。

研究チームは現在、高度な統計手法を用いて、スウェーデンにおいて肝硬変スクリーニングが最も効果的と思われる地域を選定しています。パイロットスタディも計画されています。

フアン・ヴァス、ヨーテボリ大学サールグレンスカ・アカデミー、地域医療・公衆衛生研究者
社会経済的に恵まれない地域における肝硬変のターゲットスクリーニングは、肝細胞癌の早期診断につながり、その結果、治癒的治療を受けられる可能性が高まるだけでなく、肝硬変の早期診断に関連する他のすべての健康上の利点も高まります。」

https://www.news-medical.net/news/20250505/Low-income-linked-to-higher-risk-of-dying-from-liver-cancer.aspx

肝臓がんの生存率は所得格差を反映している
https://www.gu.se/en/news/liver-cancer-survival-rates-reflect-income-disparities

スウェーデンにおける肝細胞癌の診断、治療、生存率における社会経済的格差：全国コホート研究
https://www.thelancet.com/journals/lanepe/article/PIIS2666-7762(25)00065-1/fulltext