https://www.tokyo-np.co.jp/article/4211632025年7月15日 20時48分
作家らでつくる日本ペンクラブは15日、参院選期間中の差別言動やデマの拡散に抗議する緊急会見を開き、「選挙活動に名を借りたデマに満ちた外国人への攻撃は私たちの社会を壊します」との声明を発表した。クラブが選挙期間中に声明を出すのは初という。
◆「SNSではうそであるほどおもしろく、メジャーになっていく」
クラブ理事らが日本ペンクラブビル(東京都中央区)で会見した。声明では「少しずつでも、成熟し前進してきた民主主義社会が、一部政治家によるいっときの歓心を買うための『デマ』や『差別発言』によって、後退し崩壊していくことを、私たちは決して許しません」などと、一部政党が外国人排斥などを訴えている現状を批判した。
桐野夏生会長は、こうした背景には貧困があると分析。「抑圧されたものが外国人や女性など弱いものに向けられる」と指摘し、これらの行動が「差別や偏見に結び付いていくという発想、意識がまだないと思う」と述べた。
中島京子常務理事は「国の中枢にデマを良しとする政治家が入るようになれば、デマを正当化するために真実が隠されたり、ゆがめられたりすることが起こっていく」と語った。
山田健太副会長は「SNSでは(情報が)うそであるほどおもしろく、メジャーになっていく。報道されると気になって調べ、アルゴリズムで次々と個人のスマートフォンに情報が流れ、慣れ親しんでしまう状況があり、あなどれない」と警鐘を鳴らした。(鈴木里奈)
【日本ペンクラブ緊急声明 全文】
「選挙活動に名を借りたデマに満ちた外国人への攻撃は私たちの社会を壊します」
私たちは、このまま社会が壊れていくのを見過ごすことはできません。
参議院選挙を通じ、与野党を問わず、一部の政党が外国人の排斥(はいせき)を競い合う状況が生まれています。しかも、刺々(とげとげ)しい言葉で、外国人を犯罪者扱いし、社会の邪魔者のように扱うことが、さも日本の社会をよくするかのように振る舞っています。
「違法外国人ゼロ」「日本人ファースト」「管理型外国人政策」など、表現の仕方は違えど、外国人を問題視するような政策が掲げられ、「外国人犯罪が増えている」「外国人が生活保護や国民健康保険を乱用している」「外国人留学生が優遇されている」といった、事実とは異なる、根拠のないデマが叫ばれています。これらは言葉の暴力であり、差別を煽(あお)る行為です。こうしたデマと差別扇動が、実際に関東大震災時の朝鮮人虐殺等に繋(つな)がった歴史を私たちは決して忘れることができません。
私たちはこれまで、過去の反省に立って多文化共生社会をめざし、すでに多くの自治体ではそのための条例も施行されています。そうして少しずつでも、成熟し前進してきた民主主義社会が、一部政治家によるいっときの歓心を買うための「デマ」や「差別的発言」によって、後退し崩壊していくことを、私たちは決して許しません。
民主主義社会を守るために、有権者がいま一度立ち止まり、自身の一票を大切に行使することを願います。
2025年7月15日
一般社団法人日本ペンクラブ
会長 桐野夏生
理事会一同
引用元: ・日本ペンクラブが緊急声明「選挙活動に名を借りたデマに満ちた外国人への攻撃は私たちの社会を壊します」 [少考さん★]

