グレゴリー大佐は個人的見解と断りつつ「英国が積極的に日本に接近する中で次世代型防衛能力が蓄積されつつある。これが安全保障に関する米国の主導権に対抗しうるものと見なされる恐れがある」と指摘する。日英にとって米国は最大の同盟国。怒らせるわけにはいかない。
今年3月、貿易・経済安全保障と外交について対話を促進する「日英経済版2+2」閣僚会合の初会合が東京で開催された。日本側から岩屋毅外相と武藤容治経済産業相、英国からデービッド・ラミー外相とジョナサン・レイノルズ・ビジネス・通商相が出席した。
■進む日・英・伊の第6世代戦闘機プログラム
英国もインド太平洋を経済と安全保障にとって極めて重要な地域とみなし、日英関係を「強化されたグローバル戦略的パートナーシップ」と再定義する。「ますます世界は不安定化している。道を切り開くために日英協力を強化しなければならない。日英対話は重要」(ラミー外相)
日英経済版2+2閣僚会合では、次世代量子コンピューティング開発におけるサプライチェーンと協力の促進、軍事目的に使用され得る物質や技術・研究の輸出管理の強化、洋上風力発電や先進ロボット技術、自律システム分野で協力することを確認した。
日本・英国・イタリアの3カ国は第6世代戦闘機プログラム(GCAP)を進めており、2035年以降の本格生産・配備開始を目指す。ステルス戦闘機F-22など厳しい米国の輸出制限を受け、西側諸国は対米依存の低減と自国の防衛産業基盤の強化が急務になっている。
■日英同盟は外交的抑止に重点
帝国列強の時代、ロシアの南下を警戒する大英帝国とロシアの満州・朝鮮進出を抑えたい大日本帝国は利害が一致。1902年に日英同盟を結んだ。05年と11年に改定されたものの、米国の強い圧力で米国・英国・日本・フランスの四カ国条約が結ばれ、23年日英同盟は失効した。
日英同盟は相互防衛条項を持たず、外交的な抑止に重点が置かれた。現在の日英防衛・経済協力は果たして軍事同盟なのか。グレゴリー大佐は「敵対国や同盟国が日英の一連の合意や準同盟的な枠組みを見て『かなり深く結びついた関係』があると受け取る可能性がある」と指摘する。
包括的サイバーパートナーシップとGCAPは義務を伴う。台湾侵攻に先立つ中国人民解放軍の作戦リオには日本の軍事施設や米軍基地の破壊が含まれる。「英国は日本と同盟関係にあることの意味を再認識し、日本に対する防衛義務を明確にする必要がある」(グレゴリー大佐)
■米国との信頼関係を損なわないよう慎重な調整が必要
アフガニスタン撤退やウクライナ戦争、「米国第一主義」のドナルド・トランプ米大統領再登場を受け、日本や英国は「米国主導の安全保障が必ずしも確実とは限らない」との疑念を深め、独自の抑止力構築を模索している。
宇宙、電子戦、自律型兵器、人工知能(AI)領域において日英は補完関係にあり、ハードパワー不足を補えるが、米中の注意を引くのは否めない。北大西洋条約機構(NATO)のような集団防衛メカニズムが存在しないアジア太平洋における2国間同盟はほぼすべて米国を含んでいる。
グレゴリー大佐は「日英間に形式的な条約はまだ存在しないが、実質的には同盟に近い関係と言える。今後の方向性としては『日英条約型同盟』が現実的に検討され得るが、その際には米国との信頼関係を損なわないよう米国を含めた慎重な調整が必要」と結論付けている。
8/3(日) 20:10配信 ニューズウィーク日本版 すでに日英は事実上の同盟関係にある…イギリスが「積極的に日本に接近」する理由
https://news.yahoo.co.jp/articles/956aacf84292afb73512481ff8b866e6e8608329
引用元: ・【国際】すでに日英は事実上の同盟関係にある…イギリスが「積極的に日本に接近」する理由 [シャチ★]
イギリスも没落しつつある

