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髪の毛が生えてこない場所に油を塗ったら毛がフサフサ…そんな魔法のような話です。
台湾の国立台湾大学(NTU)で行われた最新のによって、マウスの皮膚にある種のオイル(不飽和脂肪酸)を塗布すると「傷跡にやたら毛がはえてくる現象」を引き起こし発毛が促進されることが示されました。
研究ではオイルによって炎症に似た皮膚の活性化が起こり、毛包幹細胞(毛根の幹細胞)が活性化し、新たな毛の再生につながったことが示されています。
この炎症反応の“良い面”だけを利用した新しい発毛戦略は、、抜け毛に悩む人々にとって大きな希望となる可能性を秘めています。
はたしてこの方法は、人間の薄毛治療にも安全に応用できるのでしょうか?
研究内容の詳細は2025年11月4日に『Cell Metabolism』にて発表されました。
引用元: ・過剰な石鹸シャンプーで皮膚を痛め、オリーブオイルを塗り治癒、完治するとフサフサになると発表 [422186189]
今回の研究では、「傷がある場所でなぜか毛が濃く生える」という昔からの不思議な現象について、その謎を詳しく調べることで「炎症→脂肪細胞→毛根」という新しいメカニズムが明らかになりました。
特に注目すべきなのは、皮膚が傷ついたときに起きる炎症そのものではなく、炎症が脂肪細胞の変化を引き起こし、その結果として毛根の幹細胞を目覚めさせているという仕組みです。
これまでは、炎症をわざわざ起こして発毛を促す治療法もありましたが、やはり痛みや赤みなどの副作用がネックでした。
今回の発見は、こうした炎症の「デメリット」の部分を避け、その「メリット」だけをうまく取り出せる可能性を示しました。
もっと具体的に言うと、炎症で引き起こされる脂肪分解が毛根幹細胞にエネルギーを供給し、新しい毛を作り出すのを促すことがわかったのです。
さらに興味深いことに、この発見を応用した実験は驚くほどシンプルでした。
マウスの皮膚に、「オレイン酸」のような特定の油(一価不飽和脂肪酸)を塗るだけで、皮膚炎を起こさずに発毛が促進されることが確認されました。
つまり、炎症による発毛促進という複雑な仕組みを、その最終的な成果物である脂肪酸を利用することで安全に再現できたというわけです。
研究者たちは、この発見を人間にも応用できないかと考えています。
実際に彼らは、オレイン酸などの脂肪酸を配合した外用剤を作ることで、人間の頭皮でも毛を安全に伸ばす方法が実現できる可能性を探っています。
もしこれが成功すれば、従来のような刺激性のある薬を塗る方法と比べて、副作用や不快感がずっと少ない新しいタイプの育毛剤や美容液が開発できるかもしれません。
もちろん、現段階ではあくまでもマウスの皮膚で確認された効果です。
人間の毛髪はマウスの毛髪と性質や成長周期が大きく異なるため、この「脂肪酸だけで毛が生える」という新戦略が、ヒトでも同様に成功するかどうかはまだ未知数です。
研究チーム自身も、「ヒトへの応用は次の大きな課題」と慎重な姿勢を示しています。
もう俺には時間がねえんだ

