https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00795/111800003/
45-55歳の「ミドルシニア」と呼ばれる世代がキャリアの難路に直面している。仕事のモチベーションが低く、うまく活躍できないミドルシニアを「働かないおじさん」などと揶揄(やゆ)する声もある。問題はミドルシニア個々人にあるのだろうか。彼らが前向きなキャリア構築に臨むにはどうしたらいいのだろうか。そして会社はどう後押しできるのだろうか。人事・組織領域に精通し、学術的な知見も豊富に抱える日本総合研究所の宮下太陽氏と下野雄介氏の2人に論じてもらった。
「給与が働きに見合っていない」「どのように活用すべきか分からない」──。45~55歳の「ミドルシニア」と呼ばれる世代の社員について、経営者がこうぼやくのを頻繁に耳にするようになった。この世代は、失われた30年の中で社会人生活を送ってきたため「ロスジェネ世代」とも呼ばれる。経済の長期停滞の中でキャリアを築くことを強いられてきた人たちだ。
今、この世代は黒字リストラやAIリストラ(人工知能の台頭を受けた事業構造の再構築)の矢面に立たされている。ミドルシニアは給与水準が高い一方、若手と比べて生成AIなど最新技術への適応が難しいと見なされがちだ。
このような状況に直面するミドルシニアが自身のキャリアを守るためにはどうすべきだろうか。そして会社側はミドルシニアにどう対応すべきだろうか。
ミドルシニアが取れる道は、波にあらがいながら今所属している企業で存在価値を示すことだけではない。重要なのは、1つの会社、1つの専門スキル、1つの役割にこだわらない「複線的キャリア」を構築することだ。ミドルシニアの処遇に悩む会社も複線的なキャリア構築に彼らを後押しすべきだろう。
■プロアクティブでないミドルシニア
では、どうすれば複線的キャリアは構築できるのか。それは「プロアクティブ人材」になれるかどうかにかかっている。「自分自身のキャリアや組織の環境に対し先見的で、未来志向・変革志向の行動を取れる人材」であることが重要なのだ。
具体的には、以下の特徴的な行動を実践できる人材を指す。
・革新行動:自身の仕事を巡る環境を変えようとする行動
・外部ネットワーク探索行動:社外の人や情報にアクセスし、新しい知見を取り込む行動
・組織内ネットワーク構築行動:社内の関係者を巻き込み、周囲と協働して挑戦的に物事を進める行動
・キャリア開発行動:キャリア展望を自身で描き、自らの学習やスキル獲得に主体的に動く行動
上記4つの行動を体現しているプロアクティブ人材は、仕事のやり方を少しでもよくしようと、外部の知見を取り入れ、組織の人を巻き込みながら取り組みを進めていく。そうして自身のキャリアも自律的に開発していけるのだ。
では、実際のところミドルシニアはどの程度「プロアクティブ」なのか。日本総研が実施した調査によれば、残念ながらミドルシニアの「プロアクティブスコア」は全世代平均を下回っているのが現状だ。
※以下会員記事
引用元: ・「働かないおじさん」生むメカニズム解剖 外部との交流が解決のカギに うまく活躍できないミドルシニア [七波羅探題★]

