2025.12.10
TEXT BY ROSEMARY FEITELBERG
12月5日、世界共通の色見本帳で知られるパントン社が、2026年のトレンドカラーを発表。それが白系の色合いだったことから、白人優位を示唆するものとしてメディアやSNSから批判の声が上がっている。
パントン社が発表した2026年のカラー・オブ・ザ・イヤー「クラウドダンサー」(白系の色合い)が、一部のメディアから批判を受け、SNS上でも多くの否定的意見が出ている。
それに対し、パントン・カラー・インスティテュートのエグゼクティブディレクターであるリアトリス・アイズマンなどの幹部は、12月8日には取材に応じる時間がないと回答。代わりに広報担当者が発表した長文の声明の中で、アイズマンは次のように述べている。
「パントン・カラー・インスティテュートのグローバルチームは、エモーショナルかつ創造的な奥深さを持つものとしてこの色を選びました。それは、政治やイデオロギー、あるいは人種に関する表明ではありません。パントンは色に政治的解釈を付与しませんし、何らかの解釈に基づいて特定の色を選んだり避けたりすることは、選定プロセスにおいて本来的ではない重要性をその解釈に与えることになります」
ここ数日、現在の政治的状況やDEI(多様性、公平性、包摂性)プログラムの縮小を背景に、白系の色の選択を疑問視する意見がネット上で飛び交っている。白は富とエリート主義を象徴するもの、つまり衣服を清潔に保つ余裕があることを意味するというのだ。SNSでは、パントンは「ホワイトウォッシング」(1)、あるいは「パントンデフ」(2)だとする投稿も見られた。
*1 ホワイトウォッシュ(whitewash)は「不都合なことをごまかす」「スキャンダルを隠蔽する」の意。最近は、有色人種の役に白人俳優が配役されることにも使われる。
*2 パントン(Pantone)と音痴を意味する「tone-deaf(トーンデフ)」を組み合わせたもの。tone-deafは比喩的に「無神経」「空気が読めない」ことを揶揄する場合もある。
さらには、この夏に物議を醸したアメリカンイーグルの広告キャンペーンとの類似性を指摘する投稿もあった。白人の若手俳優、シドニー・スウィーニーを起用したジーンズの広告で、「ジーンズ(jeans)」と「遺伝子(genes)」の言葉遊びを用いたコピーが、白人至上主義を想起させるとして炎上騒ぎに発展したのだ。
パントン社のアイズマンは来年のトレンドカラーが「様々な議論の場で取り上げられている」ことを認めつつ、声明の冒頭でこう述べている。
「色の持つ意味は文脈や視点によって変わり、人がそれぞれ違った感情を抱くことを我われは理解しています。クラウドダンサーは、リラックスや内省、創造性を象徴する色です。また、パントンによるカラー・オブ・ザ・イヤーの選定プロセスは、人間性への理解を基盤とし、綿密な観察とグローバルなトレンド分析を通じて、デザイン界全体に広がる新たな潮流を捉えるものです。つまり、色が呼び起こす気分や、何かをデザインするうえで形成することのできる共通体験に関する考察なのです」
パントンは1999年に、新たな世紀に入ることを記念してトレンドカラーの実施を決め、「カラー・オブ・ザ・イヤー2000」以来、各年のトレンドカラー選定を継続している。白系の色が選ばれるのは2026年が初めてだが、パントン社は選択理由を次のように説明している。
「クラウドダンサーは、創造のための空間を視覚的に表現しています。まるで真っ白なページが、インスピレーションを現実に変えるように。それは私たちに、今あるものにも、これから起きることにも心を開く力を与えてくれます。クラウドダンサーは、周囲のノイズが消えた後に感じる内なる平穏を暗示しているからです。この色は、その穏やかな存在感、内省を促す力、そしてデザインにおける汎用性から選択されました。色彩を用いた創造的な探求のためのオープンな基盤を提供するものです」
同社の見解はさらにこう続く。(略)
※全文はソースで。↓
https://artnewsjapan.com/article/56300
引用元: ・2026年のトレンドカラーに白系が選ばれ論争に。選定したパントン社は「政治や人種に関する意図はない」と声明…ホワイトウォッシュとの批判… [少考さん★]

