◼「ビッグプッシュ」政策とMMT的発想の陥り
高市早苗政権が11月21日に閣議決定した総合経済対策。対策の財源の裏付けとなる2025年度補正予算案の一般会計歳出は17.7兆円で、石破茂前政権が策定した経済対策の規模(13.9兆円)を上回りました。減税の効果も含めると、21.3兆円の規模にもなる計算です。この巨額の財政出動の背景にはいわゆる「積極財政派」や、「MMT(現代貨幣理論)」に近い考えを持つ者が政府内におり、高市政権のブレーンとしても活動していることもあります。「国債をもっと刷っても大丈夫だ」「自国通貨建ての借金なら破綻しない」という論理です。
確かに、「日本の財政破綻がすぐに起きる」と騒ぎ立てるような状況ではありません。日本の財政赤字は、ネット(純債務)で見れば言われているほど巨額ではなく、政府と日銀のバランスシートを統合して考えれば、まだ一定の発行余力があるというのは、ある側面では事実です。
しかし、だからといって「いくらでも刷っていい」とか「財政規律なんて関係ない」というのは暴論です。
◼インフレ起きる可能性
高市政権がやろうとしているのは、経済学でいう「ビッグプッシュ(Big Push)」です。大規模な財政出動によって需要を人工的に作り出し、経済を高圧状態にして成長軌道に乗せるという考え方です。
このビッグプッシュが歴史的に成功したのは「朝鮮戦争特需」の時です。当時の日本は有効求人倍率が0.3倍程度で、失業者があふれていました。つまり、猛烈な「需要不足」の状態だったのです。だからこそ、外部からの特需(プッシュ)が呼び水となって、余っていた労働力が吸収され、経済が回り始めました。
翻って現在はどうでしょうか。人手不足倒産が起きるほど労働市場は逼迫し、需給ギャップはほぼ均衡しています。供給能力の限界が来ているところに、さらに財政で金をばら撒いて需要をプッシュすれば、何が起きるか。モノやサービスの値段が上がる「インフレ」です。
◼MMTのツケは将来世代が払う
MMT的な発想をする人々は「インフレ率が目標に達するまでは財政を出せばいい」と言いますが、一度火がついたインフレをコントロールするのは至難の業です。インフレになれば金利は上がります。金利が上がれば、国債の利払い費は雪だるま式に増え、結局はそのツケを将来世代が払うことになります。
さらに悪いことに、インフレは国民にとって「見えない増税(インフレタックス)」です。政府は「景気を良くして税収を増やす」と言いますが、物価が上がって名目所得が増えれば、累進課税制度のもとでは税率区分が上がり、実質的な税負担は増えるのです。
高市総理は「強い日本」を目指していますが、借金頼みの見せかけの成長で、本当に国が強くなるのでしょうか。これを実現するには労働市場の改革など制度規制改革を並行して進める必要があります。
(略)
世界の税制改革の潮流は、「課税ベース(税金をかける対象)を広くして、その分、税率を下げる」ことです。所得控除を増やして課税ベースを穴だらけにしてしまえば、結局はどこかで税率を上げざるを得なくなります。
では、どうすればいいのか。私が長年主張しているのは、「給付付き税額控除」です。これは、所得から差し引く(控除)のではなく、最終的に決まった税額から一定額を差し引く、あるいは税額がマイナスになる(控除しきれない)場合は、その分を現行で「給付」するという仕組みです。
◼真に「手取りを増やす」のであれば給付付き税額控除
これなら、低所得者にも確実に恩恵が行き渡ります。これは、私が提唱する「ベーシックインカム」への入り口となる制度です。
続きは↓
https://news.yahoo.co.jp/articles/b5f94c3e3b41248e50666999f0ed9c62ff42f099
[MINKABU]
2025/12/15(月) 9:10
引用元: ・【竹中平蔵 】 高市政権19兆円経済対策は「極めて昭和的」 私が提唱する“給付付き税額控除”は「ベーシックインカム」への入り口 [煮卵★]
個人の支出が増えるだけ
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