ラーム・エマニュエル 米中西部イリノイ州シカゴ出身。1993-98年にクリントン政権で政策・政治担当の大統領上級顧問、2009-10年にオバマ政権で大統領首席補佐官を務めた。02-08年連邦下院議員。11-19年のシカゴ市長在任中、イリノイ州の同性婚法制化など、LGBTQの人権擁護政策に尽力した。バイデン政権で駐日大使に指名され、21年12月に米議会で承認された。家族は妻と子ども3人。
◆名古屋、札幌で先行事例「地方行政が国政を変える」
エマニュエル氏は、LGBTQ保護法制が必要な理由について「政策は全ての人の価値観を保障し、心強く感じられる社会をつくるためにある。人々を排除するような社会が、力強い未来を築くことなどできるはずがない」と説明した。米国は約30年かけ、段階的に人権保障の制度を充実させてきたと指摘。日本で理解増進法案の議論が停滞していることには直接言及せず、「一つ一つの変化は単発ではなく、その後につながっている」と述べ、前向きな取り組みを促した。
名古屋など地方自治体で同性カップルと証明するパートナーシップ制度が広がっていることを評価。米国では自身が市長を務めたシカゴをはじめ、地方自治体が先行してLGBTQ関連施策に取り組んだ結果、国レベルの政策が変わったことを引き合いに「全ての自治体の政策決定が草の根のうねりをつくる。地方行政が国政を変える」と力説した。
岸田文雄首相の秘書官が2月に差別発言で更迭された後、日本を除くG7の6カ国と欧州連合(EU)の駐日大使の連名でLGBTQ保護のための法整備を促す首相宛ての書簡をまとめたことに関しては「たとえ送られたとしても私信だ」と明言を避けた。
取材は4月23日、エマニュエル氏を含む各国大使やLGBTQ当事者らが参加して、東京都内で開かれたイベント「東京レインボープライド」の会場で行った。
パートナーシップ制度 同性婚を法制化していない日本で、自治体が同性カップルなどを「パートナー」と公認し、独自の証明書を発行する制度。2015年に東京都渋谷区と世田谷区が初導入し、全国に拡大した。法的拘束力はないが、公営住宅に家族として入居できたりする利点がある。当事者を支援する認定NPO法人「虹色ダイバーシティ」と渋谷区の調査では、今年1月10日時点で全国の255自治体が導入し、人口カバー率は65.2%。
◆一つ一つの変化は単発ではなく、その後につながる
米国のラーム・エマニュエル駐日大使は本紙の単独取材で、日本がLGBTQなど性的少数者の権利を守るための法整備を早期に進める必要性を訴えた。主なやりとりは次の通り。
ーLGBTQへの差別を禁止し、同性婚を認める法整備を訴える理由は。
「政策は全ての人の価値観を保障し、心強く感じられる社会をつくり出すためにある。人々を排除するような社会が、力強い未来を築くことなどできるはずがない。誰一人として無駄にはできないのは米国も日本も同じ。早期に法律を制定すべきだ。そして、それは実行可能だ」
ー先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)が近づくが、理念中心の理解増進法案すら国会提出ができていない。
「米国では入院中の同性パートナーに面会できる権利を認め、同性愛者が軍で働くことを禁じた法律を改正。そうしたパートナーシップ制度の導入後、同性婚を可能とする法改正が実現した。一つ一つの変化は単発ではなく、その後につながっているということだ」
ー日本国内では政府の取り組みが遅い一方、地方自治体が先行している。
「名古屋や札幌などで(同性カップルだと公的に証明する)パートナーシップ制度が進んでいるのは評価すべきことだ。米国では(自身が市長を務めた)シカゴや、ロサンゼルスなどで制度が普及し、国を動かした。全ての自治体の政策決定が、草の根のうねりをつくる。地方行政が国政を変える」
ー岸田文雄首相の元秘書官による差別発言を受け、日本を除くG7と欧州連合(EU)の駐日大使が連名で日本に関連法整備を促す首相宛ての書簡をまとめた。
「書簡については明言していない。たとえ送られていたとしても、私信扱いのものだ」
東京新聞 2023年5月1日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/247255
引用元: ・エマニュエル駐日米大使 同性婚「早期に法制化を」本紙(東京新聞)に強調「排除する社会は未来を築けない」 [蚤の市★]
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