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財務省が発表した2021年度の法人企業統計で、全産業の経常利益が前年度比33・5%増の83兆9247億円と過去最大だった。
企業の「内部留保」に当たる利益剰余金は6・6%増の516兆4750億円と初めて500兆円を超え、10年連続で最大を更新したという。
統計をさらにみると、全産業の営業利益は30・2%増の54兆2156億円、設備投資は9・3%増の45兆6613億円。
なお、設備投資は、有形固定資産(土地を除く)増減額、ソフトウエア増減額、減価償却費、特別減価償却費の合計である。
利益剰余金の増加額は34兆3343億円なので、基本的には利益以上に他の金融資産を取り崩して設備投資したので、まずまずの数字である。
金融緩和効果が出てきたものと思われる。それとともに、最近の「円安是正のために利上げ」というマスコミ論調がおかしいことを示している。
国内総生産(GDP)統計を見ても、民間設備投資はまずまずだが、政府公共投資はさっぱりだ。
政府が出てくれば、呼び水効果でさらに民間投資を伸ばすチャンスなのに残念で仕方ない。
公共事業を評価する際に使われる社会的割引率は現在4%という法外な水準であり、
その見直しなど政府がやるべきことは少なくなく、せっかくの民間投資が好調な状況を生かしていない。
法人企業統計では、21年度のほか、22年4~6月の分も公表されている。
全産業の営業利益は前年同期比13・1%増の17兆6716億円、
経常利益は17・6%増の28兆3181億円。経常利益は製造業、非製造業のそれぞれでも過去最高である。
営業利益が伸びているのは、コロナ禍からの経済・社会活動の正常化で業績回復が進んだからだ。
また、経常利益が営業利益よりも伸びているのは、非営業利益の投資収益が伸びているからだ。
受取利息等は7兆3573億円で過去最高だった。
その主因は円安による海外投資収益の増加である。
円安効果は輸出拡大という形でも現れるが、過去の海外投資収益という形でも表れる。
一般に現地生産に移行していると輸出増にならないので、円安効果は限定的だといわれるが、
現地生産なら海外投資を既に実施しているはずで、その場合には輸出増でなく海外投資収益増に替わっているはずだ。
今回の法人企業統計では、その効果が強く表れている。
設備投資は4・6%増の10兆6108億円だった。5期連続で前年比プラスで、民間設備投資の基調はいい。
脱炭素やデジタル化への投資意欲は相変わらず堅調だ。
円安でも企業収益は良くなったわけで、本コラムで筆者が円安ならGDPは伸びると主張していたことと整合的だ。
企業収益増は法人税増になるので、その増収分を円安で困っているところ、例えば中小企業などに使うといい。
いずれにしても、円安はGDP増になるので、その果実を有効に活用すればよく、角を矯めて牛を殺すような、
円安是正という間違った対応をしてはいけない。
引用元: ・高橋洋一氏(東大数学科卒経済学者) 「悪い円安」論調の大間違い 円安ならGDPは伸びる 法人税収増分を中小企業対策に [ベクトル空間★]
高橋洋一『ついにあなたの賃金上昇が始まる!』(2017/10)
日本のマスコミの多くは、「インフレ率2%を達成できないアベノミクスは失敗だ」とばかりに政権批判を繰り返し、ことさらに人口減少問題や財政問題を取り上げ、国民の不安を煽っている。
だが、筆者の髙橋洋一氏は、それらは「安倍政権叩きを至上命題とするフェイク報道にすぎない」と真正面から反論する。
そして、髙橋氏は世界を俯瞰した上で、「アベノミクスは70点の合格ラインに達している」と評価し、
「完全失業率2%台・有効求人倍率1倍台に突入した日本は、これから本格的な賃金上昇時代を迎える」と予測し、
「安倍首相は、2018年にはいよいよ念願の憲法改正に取り掛かる」と読む。それらはすべて数量理論をベースとしたものだけに説得力に満ちあふれている。
それどころかタックスヘイブンだからな