■「かつてラクウショウが生えていた低地の湿地は0.1%も残っていません」
米国東部を流れるブラック川沿いに1本の巨大な木が立っていた。
デビッド・シュタールは、ヌマスギとも呼ばれるこのラクウショウの木にはしごをかけ、てっぺんまで上った。
米アーカンソー大学で年輪年代学の研究をしているシュタールは、その幹にゆっくりと穴を開け始めた。
樹皮から2.5センチほど掘った辺りの年輪は、第1次世界大戦の前の頃のものだ。
5センチで合衆国が誕生した頃、12センチでコロンブスが米大陸に到達した頃になる。
抜き出した鉛筆の太さほどの年輪のコア試料を調べたところ、この木が沼地で芽吹いたのは、
十字軍の第1陣がエルサレムに侵攻した1000年ほど前だとわかった。
だが、彼が私に見せたかったのは、樹皮からわずか1センチほどの1900~35年に当たる部分だ。
米国ではその頃までに、古代から生えていたラクウショウの古木の約9割が伐採されたとシュタールは言う。
「かつてラクウショウが生えていた低地の湿地は0.1%も残っていません。だから、この土地は大切な場所なんです」
これまであまり注目されていなかったが、一帯には、ロッキー山脈の東側において、わかっている限り最も古い木々が立っている。
ラクウショウは、有性生殖を行う樹木のなかで、5番目に古い時代からあるとされる種だ。
2017年にここでシュタールが見つけた別のラクウショウは、遅くとも紀元前605年に芽を出し、樹齢は2600年を超えている。
ラクウショウは最も回復力に優れた木の一つだが、今、デラウェア州からテキサス州の沿岸部で大量に枯れていて、後には骸骨のような白い木々の森が残されている。
こうした森は「幽霊の森」と呼ばれ、海面上昇によって、かつて淡水の生態系が広がっていた土地の奥深くまで塩水が入り込んでいることを、
おそらく最も明確に示すものだ。
森林湿地に分布するほかの植物に比べれば、ラクウショウは耐塩性が高いが、塩分濃度が2pptを超える環境では長く生きられない。
大西洋の塩分濃度は35pptを超えることがあるし、米国の東海岸は世界的に見ても海面上昇が急速に進んでいる場所だ。
ノースカロライナ州のウィルミントン港近辺では、1950年から約30センチ上昇し、2050年までには少なくともさらに30センチ上昇すると予測されている。
ブラック川は、湿地でよく見られる流れの緩い川で、まだ流域の樹木に塩水は迫っていないようだ。
だが、米ノースカロライナ大学の最近の調査によると、もっと海に近いケープ・フィア川の下流域では、汽水域の拡大に伴い、
1950年代から少なくとも300ヘクタールの森林湿地が塩性湿原へと姿を変えたという。
塩分濃度の年平均が2pptに達すれば、森林から湿原への移行は避けられない。
橋の上から見えるケープ・フィア川沿いの幽霊の森は、さらなる大きな兆候を端的に表している。
米バージニア大学と米デューク大学が衛星画像を用いて行った最近の研究によると、メキシコ湾と太西洋に沿って広がる海岸平野では、
1996~2016年の間に、全体の8%に当たる1万3000平方キロ以上の森林湿地が消失している。
さらに年ベースでは、その面積は700平方キロ近くに及ぶという。
この消失速度は、最も危機的な状況にあると長年考えられてきたマングローブの3倍以上に当たる。
このペースでいけば、広域にわたる保護・再生活動を行わない限り、今世紀末には沿岸部の森林湿地がすべて消える可能性がある。
引用元: ・【地球環境】数千年生きる古木が立ち枯れた「幽霊の森」が米国でまん延、今世紀末には沿岸の森林湿地が消滅か [ごまカンパチ★]
恐るべし令和
環境保護団体は日本のフクシマからタレ流れているトリチウムが元凶と断定したとか?