降雪期前に接種を終える計画だった奥会津地方は特に深刻で、年内の接種を打ち切る自治体も。
高齢者を中心に接種希望者が多いのに対し、国からのワクチンの配分量が十分でないことが主な要因だ。
町村の担当者は「前倒しでワクチンを供給してほしい」と国や県に求める。
ワクチンは各市町村に必要数の全てが一度に配分されるのではなく、来年3月末までに何度かに分けて配られる。
町村部は高齢化率が高く、会津地方は雪が積もる前に受けたいと考える人が多いため接種開始と同時に希望者が集中し、当初の配分量では応じきれない状況になっている。
高齢化率が61・4%で県内最高の金山町は、重症化を警戒し町民の予防意識が高い。豪雪地帯でもあり、接種会場への移動の安全を考慮し町は、10月中の接種完了を計画していた。
ただ、以前の接種時に比べワクチンの配分が遅れ、供給量も少ない傾向にあると町は指摘する。
11月10日まで町国民健康保険診療所で接種しているが、その後はワクチン供給の見通しが示されておらず、インフルエンザワクチンとの取り違えの恐れもあるため、年内の予約を終了した。年明け以降に再開する。
高齢者や基礎疾患がある人は優先的に対応しているが、11月10日時点で希望者約1100人のうち、接種済みは7割程度にとどまる。
療所の係長丹治克弥さん(46)は「配分の日程が直前まで分からないのも問題。接種に合わせた人員確保ができないため、通常診療にも支障が出る。
速やかで安定したワクチン供給体制を確立してほしい」と国に求める。
町内の30代の会社員女性は、9月に接種できると町から聞いていたが今もできていない。
「祖父母と同居しているので、早めに終えたかった」と明かす。「国はワクチン接種を推奨しているのに、十分な供給がないのはおかしい」と語気を強めた。
柳津町も希望者への接種完了が当初計画の11月上旬ごろから下旬ごろにずれ込む見込みだ。27日現在の接種率は71・9%となっている。
会津地方以外にも同じ状況の自治体がある。小野町は9月末に予約を終えた約2千人への接種を10日から11月4日まで行っているが、他に希望する約千人には対応できていない。11月中旬から下旬にかけて接種を進めたい考えだ。
一方、接種率が比較的低い傾向にある都市部は今のところ大きな混乱はない。ただ、希望者が増えた場合の対応に不安を抱く。
郡山市によると、配送予定に基づけば12月ごろから不足する可能性があるという。担当者は「予約したのに接種できないという状況だけは避けたい」と話す。
https://www.minpo.jp/news/moredetail/20231028111788
金山町国民健康保険診療所で行われているコロナワクチンの接種。供給量不足で接種完了時期が遅れている
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