「なるほど」は目上の人に使っちゃダメだよーー。こんな指摘を上司や先輩に受けたことのある方も少なくないでしょう。
昨今は、言葉遣いに関するビジネス書やWebサイトでも、しばしば同様の意見に出会います。
SNSなどには、特に目上の人と話すとき、どんな相づちを使えばいいのか判断に困ってしまう、といったビジネスパーソンの声も数多く寄せられています。
そもそも「なるほど」ってそんなに「失礼」な表現なのでしょうか。「なるほど」に代わる便利な相づちってあるのでしょうか。
そんな素朴な疑問を、今回は国語辞典の編纂者で言葉のプロである飯間浩明さんにぶつけてみました。
インタビューで語られたのは、「なるほど」の語源から、言葉や表現一般に対する飯間さんのスタンスまで、実に幅広いトピックです。
この記事を読んで、日々の言葉遣いを振り返るきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
「なるほど」って目上の人に使うと失礼ですか? 国語辞典の編纂者・飯間浩明さんに“本当のところ”を聞いてみた
https://meetscareer.tenshoku.mynavi.jp/entry/20231109-iima
引用元: ・「なるほど」って目上の人に使うと失礼なの? [306759112]
──そもそも「なるほど」という言葉はどこから来たのでしょうか。
飯間浩明さん(以下、飯間):語源について、ということですね。「なるほど」は江戸時代にはもう使われていました。
本来は「うまく実現する(=成る)程度に」ということで、「できるかぎり」に近い意味でした。
「うまく実現する程度に」というところから、やがて「確かに間違いなく」という意味が生まれました。
さらには、「たしかにそうですね」と深く納得したことを表す、現代の相づちの用法につながったわけです。語源的には「なるほど」に失礼な要素はありません。
近代以降の使い方を見ても、「なるほど」が特別に相手に失礼だとは言えません。
例えば、夏目漱石の『吾輩は猫である』では、地位のある人物に対し、目下の人物が「なるほど、よいお思いつきで――なるほど」と、しきりに賛意を表す場面があります。
もう一つ文豪の例を出すなら、芥川龍之介はどうでしょう。
『俊寛』という小説の中で、目上の俊寛僧都(そうず)の発言に対して、目下の有王(ありおう)が「なるほど、そう伺ってみれば……」と、へりくだった口調の中で「なるほど」を使っています。
私自身も「なるほど」にこだわりはありませんが、あるアナウンサーの方に伺うと、研修では「なるほど」の使用について注意するように言われるそうです。
放送の言葉というのは特殊で、いろいろな地域や年齢、立場の視聴者を想定しなければならないため、一般人の言語生活よりも縛りがきつくなるのはやむをえません。
ただ、そのアナウンサーの方も、私との会話では「なるほど」と相づちを打って、ご自分で苦笑されていました。
その「なるほど」の言い方には、私の話をしっかり聞いてくださっているニュアンスがこもっていて、率直にうれしかったですね。
実は、少し前まで、アナウンサーも「なるほど」を放送で普通に使っていたんです。
1990年にベテランのアナウンサーが書いた本には、インタビューで相手の話に深く納得する場面があって、「私としては『なるほど』の連発です」という表現が出てきます。
春の祭典!
なるへそだとヤバい
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これで失礼を回避できると思ってんのかね