導入まで1年を切った消費税の新ルール「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」。フリーランスなど個人事業主の負担が問題になり、全国に約3万人いる個人タクシー運転手も対応に苦慮している。国は事務処理のメリットなどを強調するが、零細業者が多く必要な機器の購入もままならない。コロナ禍の傷も癒えない中、なぜ行うのかと問う声が上がっている。(特別報道部・西田直晃、中沢佳子)
◆「でんでん虫」も「ちょうちん」も
28日昼すぎのJR新橋駅前。個人タクシーの男性運転手は「インボイスに登録せざるを得ない」と話した。
インボイス制度は、消費税率が10%に上がった際、食料品などに8%の軽減税率が導入されて複雑になったため、「適正な価格表示」を名目に導入された。年収1000万円に満たない事業者は「免税」とされていたが、制度に登録すれば「課税」対象になる。
男性が所属するのは「でんでん虫」のあんどんを屋根に付けた車で知られる「都個人タクシー協同組合」。約6000人の組合員に、課税事業者への変更を要請した。もともとは大半が「免税」だったが、アンケートをしたところ9割超が移行すると回答したためで、水野智文副理事長は「これまでと免税と課税の割合が逆になる」と語る。「課税」に変えないと、あんどんと車体の図柄の使用を取り消す方針だ。
ただ、組合員からみると、インボイス登録で13桁の番号が割り振られ、これまで領収書に書かれていなかった税込み表記をしなければならない。印刷方式の変更は数千円で済むが、レシートの印刷機器が旧型だった場合、機器そのものの交換が必要だ。男性は「機器を入れると、数万円の初期出費が必要になる」と話す。
◆生き残る可能性が高いのは
そうまでして、なぜ導入に応じたのか。水野氏は「(インボイス登録で)経営環境が良くなる運転手は一人もいない」と明かす。国は「免税」で残る選択肢も設けているが、現実的には法人客から、経費精算に必要なインボイスの領収書を求められる。
水野氏は「法人タクシーの運転手は課税事業者になる。お客さまのことを考えたとき対抗するのは難しい。個人タクシー業界がより生き残る可能性が高いのはどちらかと考えた」と話す。「全体のことを考えての判断か」と問うと、「そうです」と答えた。
都内の別の組合で「ちょうちん」のあんどんで知られる日個連東京都営業協同組合(約3400人加盟)の担当者も、「組合員にお願いしている段階。最終的には9割が課税事業者になる」と説明する。
前出の男性は「痛いが、ちまちまとした経費より売り上げが大事。運賃も上がるので」と話す。確かに国土交通省の発表では、11月から東京23区と武蔵野、三鷹市の事業者を対象に運賃が値上がりし、普通車の初乗り額の上限は80円上がって500円になる。
別の男性運転手は憤りを隠せない。「コロナ禍で個人タクシー運転手は疲弊し、国民健康保険を払えずに滞納している人も存在する。法人と比べると収入は少ない」
組合の要請には従わず、インボイスには登録しないつもりだという。「大手企業には優遇税制があるのに、中小企業や個人事業主にまで対象を広げて消費税を搾り取るのはおかしい。私自身も年金額の目減りがひどい。もともと消費税を導入したのは高齢者福祉のためだったのに、納得いかない。何とか現行制度を維持してほしい」
?次ページ 「口には出さないがみんな反対」 に続く(以下ソースで)
東京新聞 2022年10月29日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/210765
引用元: ・インボイスに個人タクシー業界が粛々と登録…運転手たち「メリット一つもない」 [蚤の市★]
てか今まで利用者から取ってた消費税分の料金を
利用者に返せよ
上級国民