県は11年の東日本大震災を機に津波想定の見直しを始め、F43断層を想定に加えた。複数の専門家によると、F43断層は、今回の能登半島地震の震源断層と長さや地震規模がよく一致している。
一方、県は東日本大震災を経ても地震想定は見直さず、1997年にまとめた能登半島北方沖の海底活断層(M7・0)を使い続けていた。
この想定による被害は「ごく局地的な災害で、災害度は低い」と評価され、建物全壊は120棟、死者7人、避難者は約2800人と試算していた。これは今回の能登半島地震の被害(住宅被害2万2000棟超、死者230人超、避難者1万7000人超)より大幅に小さい。
能登地方では20年12月から群発地震が活発化した。県はこれを機に地震想定の見直しに着手したが、間に合わないまま能登半島地震が起きた。
地震想定だけ見直しが遅れたことについて、地域防災計画を作る県防災会議・震災対策部会の複数の専門家が取材に応じ、県が、国の地震調査委員会による活断層評価(長期評価)の結果を待っていたと証言した。
調査委は東日本大震災後、全国をエリアごとに区切った活断層調査を始めたが、能登を含む中部地方は未着手のままだ。
部会長を務める室崎益輝・神戸大名誉教授(防災計画学)は「国の評価が遅れていたことと、県が結果待ちの姿勢だったという両方がある」と指摘した。
委員の平松良浩・金沢大教授(地震学)は、東日本大震災後に「(見直しに)至急取り組むべきだ」という意見書を県に提出していた。しかし県側は「国の評価が出ていない」と見直さない理由を説明していたという。
室崎氏は「被害想定が非常に古く、きちんとできていなかったことが一番の根本。結果として対策が極めて不十分だった」と話した。
石川県危機対策課は「国の評価が出た段階で(見直しを)することにしており、国に『早く出してください』と言ってきた。足元で群発地震もあり、国の結果を待たずにすることになった」と説明した。
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引用元: ・【能登地震】石川県「大地震きても死者7人ぐらいかな」…地震被害想定27年前から見直しせず