・「米ドル離れ」が加速している世界
現在、世界の基軸通貨は米ドルであるが、いずれは違う通貨になることだろう。 私はウクライナ戦争とロシアに対する経済制裁が、長期的には米ドルにマイナスの影響をもたらすと予測している。
基軸通貨国であるはずのアメリカは、ウクライナ侵攻を受けてロシアを国際決済システムから離脱させ、
米ドルを利用できないようにした。私は、基軸通貨であるために、常に中立的なスタンスを維持すべきだったと考えている。
アメリカはロシアへの追加制裁として、ロシア中央銀行のアメリカにおける資産を事実上凍結したほか、
ロシア企業などの150超の個人・団体を制裁対象に加え、アメリカ国内の資産を凍結し、アメリカ企業などとの取引を禁止した。
これによりロシアのドル離れが加速するだけでなく、ロシアに続く国が出てくるかもしれない。
実際に、ウクライナ侵攻においては西側諸国以外でアメリカに追随してロシアに制裁を科している国はそれほど多くはない。
多くの国は中立的な立場を取っており、アメリカ一強だった時代が終わっていることを示唆している。
アジアでは日本や韓国、シンガポールがアメリカを支持しているが、インドや中国はロシア寄りのスタンスを維持している。
すぐに米ドル離れが起きなくても、ドルに対する懸念を持つ国は増えるのではないか。
今の段階では多くの国が米ドルで債券を発行しているが、かつての基軸通貨がポンドからドルに移行したように、
ドルから徐々に次の通貨へと移行するに違いない。
世界に経済危機が訪れると、投資家はドルが安全通貨だと考え、ドルを買おうとしたがる。だが、
前述したようにアメリカは過去最大の債務を抱えており、すでにドルは安全通貨ではなくなりつつある。
これからの投資家には、ドルを売るタイミングをより慎重に見極める力が求められるだろう。
・「米中貿易戦争」がもたらすもの
トランプは「対中貿易赤字の解消」「貿易の不均衡の解消」を公約に掲げ、大統領に就任し、
実際に中国製品への関税引き上げを実行した。
中国も報復措置としてアメリカからの輸入品に関税をかけ、貿易戦争へと発展したのは周知の通りである。
ー中略ー
アメリカはファーウェイを攻撃することで、アップルやほかのアメリカ企業を守ろうとしている。
テクノロジーに詳しい私の知人によれば、ファーウェイは非常に技術力を持った企業であるとのことだが、
米中貿易戦争の中で完全な悪者となっている。
しかし、市場を閉ざす行為は、本当に国の発展につながるのだろうか。
私の考えでは、アメリカにとって米中貿易戦争はマイナスでしかない。
世界ではこれまで自由貿易と保護貿易主義が繰り返されてきた歴史があるが、保護貿易主義が良い結果をもたらしたことはない。
そもそも第二次世界大戦は保護貿易主義の帰結としてもたらされたものでもあったが、
歴史を知らない現代の為政者たちは保護貿易主義に救いを見出し、貿易戦争を正当化している。
それはわかりやすく批判の矛先を外国人に向けているだけであり、批判がエスカレートすれば本物の戦争へと発展しかねない。
私は自由貿易と市場開放に賛成しているが、アメリカは状況が悪化すればするほど市場閉鎖に走ろうとするに違いない。
その結果、負のスパイラルが起き、アメリカ経済は弱体化の一途をたどることになるだろう。
ジム・ロジャーズ(世界的投資家)
現代ビジネス 2/8(木) 8:03配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/706c83c186a2a56008a10554d4e592762db3896f
引用元: ・【ジム・ロジャーズ氏】 「アメリカが衰退するのは時間の問題、米ドル離れは加速する」 [2/8] [仮面ウニダー★]
中国株仕込んじまったのか?