ドナルド・トランプ前大統領は、自身が立ち上げたSNSの「Truth Social(トゥルース・ソーシャル)」の運営元の
トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(TMTG)の上場によって1日で40億ドル(約6060億円)以上の資産を増加させた。
TMTGは、すでにナスダックに上場していた特別買収目的会社(SPAC)のデジタル・ワールド・アクイジション(DWAC)と合併によって3月26日にナスダックに上場した。
株価は一時、前日のDWACの終値より59%高い79.38ドルを付け、終値は16%高の57.99ドルだった。
トランプの保有資産は先週までは23億ドルだったが、フォーブスは彼の26日現在の資産が64億ドル(約9680億円)に増加したと試算している。
これにより、トランプは世界で最も裕福な450人の仲間入りを果たした。
これは、ここ数年の商業用不動産市場の低迷で資産が目減りしていたトランプにとって驚くべき逆転劇だ。
借入コストの上昇にともない不動産価値は急落し、コロナ禍に始まったテレワークのトレンドは彼が所有するオフィススペースの需要を削り続けている。
トランプはまた、ニューヨーク州での2つの法廷闘争による罰金と賠償金の合計5億4000万ドル以上の債務を負っており、
フォーブスは彼の資産の算定からこの債務を差し引いている。
トランプが所有するTMTGの約7900万株は、今や彼の不動産やその他の資産のすべての合計額の約2倍の価値があり、彼にとって最大の資産となっている。
しかし、トランプがこの新たな富を実際にどれだけ利用できるかはまだわからない。彼の株は書類上では数十億ドルの価値を持つが、
この株は現在、ロックアップ条項により、6カ月間、売却やローンの担保にすることを禁じられている。
現在はTMTGとして取引されているDWACの株価は、2021年10月にトランプとの取引が発表されて以来、激しく上下していた。
TMTGの株が今後の6カ月間、現状の株価を維持できれば、トランプは所有する株式の一部または全部を数十億ドルで現金化できるかもしれない。
しかし、SPACとの合併で株式を公開する企業は、取引の開始後に株価が下落する傾向がある。
そして、TMTGは普通の企業ではない。
同社の時価総額は、26日に約80億ドル(約1兆2000億円)に達したものの、トゥルース・ソーシャルの登録ユーザーは900万人に満たず、
フェイスブックやX(旧ツイッター)などとの厳しい競争に直面している。
TMTGはここ1年で4000万ドルの損失を出しながらも、昨年1~9月期の売上高は約340万ドルというごくわずかなものだった。
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