円安が進む中、政府関係者は投機的な動きに対するけん制を強めている。
円は対ドルで当局が約24年ぶりに円買い介入に踏み切った2022年当時の水準をすでに下回っており、先週約34年ぶりの安値に達した。
野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは、22年のように数兆円規模の介入が実施されれば、円を対ドルで4~5円程度押し上げる可能性があると指摘する。
鈴木俊一財務相は先週、円安を巡り行き過ぎた動きに対して「断固たる措置を取っていきたい」と警告した。
もっとも、市場には介入による円押し上げ効果の持続性について懐疑的に見方がある。
円安圧力の背景には日米間の大きな債券利回り格差があり、日本銀行が3月に決定した17年ぶりの利上げも日米金利差を縮める効果はほとんどなかった。
米10年物国債利回りは日本の同利回りをおよそ3.5%ポイント上回る。
介入の原資となる日本の外貨準備(外貨資産)は2月末時点で約1兆1000億ドル(約167兆円)。ゴールドマン・サックス・グループの推計によると、このうち約1750億ドルが米国債などを売却せずに介入に使えるドル資金という。
財務省は22年9月と10月に計3回の円買い介入を実施し、9兆円余りを費やした。第1回目の介入では、円は日中安値から一時1ドル=140円36銭まで5円以上急伸した。
大和証券金融市場調査部の多田出健太チーフ為替ストラテジストは、貿易赤字などの円の需給を基に試算すると、「1兆円規模の介入で1円弱くらい」の円高効果があると分析。当局が介入を実施するとなれば、「少なくとも5円くらいは円高に持っていきたいところではあるだろう」と話す。
BofA証券の山田修輔、メガン・スワイバー両ストラテジストは先月のリポートで、円安が1ドル=152~155円のゾーンまで進むか、ドル・円の1カ月物予想変動率が現在の8%程度から10%以上に上昇すると、為替介入のリスクが高まると指摘した。
一方、介入により円の長期的なトレンドが変わることはないと見る向きは多い。
22年の介入の後、円は同年10月21日の安値1ドル=151円95銭から3カ月間で20%近く上昇したが、その後下落基調に戻り、先月27日には151円97銭と1990年7月以来の安値を更新した。
マネックス証券の相馬勉債券・為替トレーダーは「介入は短期的にはポジション調整を促すが、円は1週間かそこらで元の水準に戻るだろう」と語る。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-01/SB90B7DWX2PS00
引用元: ・【為替ストラテジストが読む円買い介入効果】数兆円規模の介入実施なら4~5円程度の円高効果-野村証・後藤氏、円は1週間程度で元の水準に戻る公算-マネックス証・相馬氏
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